研究概要 |
モデル的な生ごみとしてドッグフードを用いた高温コンポスト化を60℃で14日間おこない,コンポスト化過程における有機物の分解を各有機物成分濃度と有機物分解の結果発生する炭酸ガス発生量を測定することによって確かめた。また,選択培地を用いて各有機物成分の分解能を有する微生物濃度を測定するとともに,PCR-RFLP法を用いて微生物叢遷移を調べて,有機物分解の対応関係を検討した。有機物成分の分解は,まず糖質が引き続いて蛋白質,および脂肪が活発に分解した。これらの成分の活発な分解が終了するコンポスト化8日以降には炭酸ガス発生速度も極めて小さくなった。なお,培地上で生育する微生物濃度の変化は有機物の分解に対応し,特に蛋白質の分解と分解微生物の挙動にはよい対応関係が認められた。 引き続いて,遺伝子の塩基配列を解析するPCR-RFLP法に基づいてコンポスト中微生物叢の遷移を測定した。有機物分解が活発で,有機物の量的,質的変化が著しいコンポスト化期間では微生物叢は大きく変化し,また,有機物分解が乏しくなり,炭酸ガスの発生量も極めて小さくなったコンポスト化9日以降では,微生物叢もそれ以上変化しなくなることを明らかにした。さらに,有機物の分解率を変化させて作成したコンポストを用いてコマツナによる幼植物試験をおこない、微生物叢が安定する時期にコンポストの腐熟度は肥料効果として十分なものに達していることを確かめた。以上の結果、コンポスト化における有機物分解過程とそれに対応する有機物分解微生物の消長,および微生物叢の遷移を総括的に説明し,コンポストの腐熟度との対応を明らかにすることができた。
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