研究課題/領域番号 |
12680643
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
外村 辨一郎 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20026545)
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研究分担者 |
滝田 禎亮 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70263126)
森本 康一 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (10319741)
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キーワード | アミノアシルtRNA合成酵素 / リシルtRNA合成酵素 / タンパク質結晶化 / 酵素基質認識機構 / タンパク質蛍光 |
研究概要 |
1 Bacillus stearothermophilus由来リシルtRNA合成酵素(B.s.LysRS)遺伝子を組み込んだ大腸菌中でB.s.LysRSを発現させ、単離・精製し、電気泳動的に単一な標品を得た。この標品を用いてB.s.LysRSの結晶化を試みた。種々の条件の内で、0.1Mトリス緩衝液、pH8.0-8.2、沈殿剤PEG4000(17-35%)において幾つかの異なる形の結晶を得た。しかし、そのいずれもが、十分なX線回折像を与えず、構造解析には不適当な結晶であった。現在、酵素の精製ならびに、良好な結晶を得るための条件のスクリーニングを繰り返し続行中である。 2 B.s.LysRSの基質L-リシン結合部位を形成するアミノ酸残基を、既報の大腸菌由来のLysRSと基質L-リシンとの複合体の立体構造から類推し、そのうち、基質L-リシンのアミノ基およびカルボキシル基とそれぞれ水素結合の距離にあるTyr271およびAsn414、ならびにAsn414と水素結合距離にあるArg402を部位特異的変異により置換した人工変異酵素を作出し、L-リシン依存性ATP-PPi交換反応を測定し、k_<cat>、K_m(lysine)、K_m(ATP)、K_m(PPi)を求めた。一方、B.s.LysRSと基質L-リシンの結合に際して蛋白質蛍光が減少することを利用して、これら変異型酵素について蛍光滴定を行い酵素-L-リシン複合体の解離定数K_d(lysine)を算出した。変異型酵素は野生型に比していずれも活性が減少した。その中でAsn414をAspに変換した酵素では、野生型に比して、k_<cat>値は11%、K_m(lysine)値は46%、K_m(ATP)値は55%、K_m(PPi)値は134%であり、負電荷の導入による反発の予想に反して、基質L-リシンの結合はこの変異酵素の方が強いことが示唆された。これは、蛍光滴定によるK_d(lysine)値の傾向と一致した。カルボキシル基のpK_a移動を伴う水素結合の形成が示唆される。
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