1.安原晃氏(東京学芸大学)との共同研究において、いくつかのグラフについてその空間埋め込みの構成結び目集合の完全な特徴付けを行なった。またいくつかのグラフについてはその空間埋め込みの構成2成分絡み目集合の完全な特徴付けを行なった。前者は結び目のConway多項式の2次の係数の言葉で、後者は絡み数の言葉でなされる。証明の手法としては空間グラフのデルタ分類とクラスプ・パス分類の理論と結び目・絡み目のバンド表示の理論を使った。 2. George Washington UniversityのJozef Przytycki氏との共同研究において、金信泰造氏(大阪市立大学)と宮澤康行氏(山口大学)が提出した絡み目のHOMFLY多項式の係数に関する予想を肯定的に証明することで解決した。証明には絡み目のsimilarityの概念とVassiliev-Gusarov moduleのアナロジーを用いた。 3.大山淑之氏(名古屋工業大学)との共同研究において空間グラフ内の結び目のバシリエフ不変量達の間の関係について考察した。具体的にはそれらの適当な和がいつグラフの埋め込みによらない不変量になるかならないか、またいつ埋め込みの頂点ホモトピー不変量になるかならないか、またいつ埋め込みの辺ホモトピー不変量になるかならないかを決定した。 4.空間グラフは分離可能であるかまたはグラフと1点で交わりグラフを2つに分ける球面が存在するとき可約であると呼ばれる。空間内の位相的円板で空間グラフに対してある種の位置にあるものに対してそれを縮約して得られる空間グラフが可約でなければもとの空間グラフも可約でないことを証明した。これによっていくつかの空間グラフの非自明性が簡単に示せるようになった。
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