イネの節間組織の形成および節間伸長の遺伝的制御機構を解明するために、植物の茎伸長に重要な役割をもつことが明らかになっているブラシノステロイドのイネにおける作用特性について解析した。 1)イネにおけるブラシノステロイドの生合成に関与する遺伝子の単離およびその機能解析・・・アラビドプシスなど数種の植物において、ブラシノステロイドの生合成に関与する遺伝子が単離されている。それら遺伝子のイネにおけるホモログをイネDNAデータベースを用いて探索するとともに、PCRによってクローニングを行った。その結果、既知の9種類の遺伝子全て(既に報告されている2遺伝子を含む)について、イネホモログを同定した。その内、トマトDwarfのイネホモログ(OsDwarf)については、全長cDNA・ゲノムクローンを単離し、詳細な解析を行った。OsDwarfの合成産物の酵素活性をyeast fucrional assayによって確認した。また、Osdwarfのアンチセンスコンストラクトをもつ組換え体イネを作出し、組換え体が示す形態的特徴を解析している。 2)ブラシノステロイドの合成および応答・伝達に関する突然変異体のスクリーニング・・・イネにおいて唯一知られている、ブラシノステロイドの受容に関する突然変異体d61は、濃緑色・直立葉の矮性を示す。d61の形態的特徴を指標にして、これまでに得られている多数のイネ矮性突然変異体の中から、以下の方法を用いてにブラシノステロイドの合成および応答・伝達に関する突然変異体をスクリーニングした。すなわち、d61に類似した草型を示す変異体について、(1)ブラシノステロイドの投与による反応性および(2)暗黒条件下での発芽における節間伸長について調査し、その結果、ブラシノステロイドの合成に関与すると考えられる変異体を10系統、ブラシノステロイドの受容に関与すると考えられる変異体を3系統獲得した。
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