研究概要 |
交付申請書に記載した研究実施計画に従って研究を行い、以下のような成果を得た。 1.トリアシルグリセロール構造脂質の酵素合成 Candida antarctica由来の固定化リパーゼ(Novozym 453)はトリカプリリンとエイコサペンタエン酸(EPA)とのアシドリシス反応で、不十分ではあるが、1,2-dioctanoyl-3-eicosapentaenoyl-sn-glycerol(C_8C_8EPA)を優先的に生成することがわかっている。この反応で、中間体としてジアシルグリセロール(DAG)を生成するので、これを分離し、R(+)-1-phenylethyl isocyanateによって誘導体に導きシリカゲルカラムHPLCで分離したところ、1,2-dioctanoly-sn glycerol(1,2-DAG)が多かった。そこで、トリカプリリンのメタノリシス反応を実施し、多量の1,2-DAGを生成させ、これを分離して、EPAとエステル化反応を行うことにより、反応率12.4%でee52%のC_8C_8EPAを得ることに成功した。これは世界的に見てもチャンピオンデータである。 2.リン脂質型構造脂質の酵素合成 ドコサヘキサェン酸(DHA)を13%含む卵黄レシチンとL-セリンとのホスホリパーゼDによるホスファチジル基転移反応により、DHA含有ホスファチジルセリンが高収率で合成できた。 一方、ホスホリパーゼA_2を用いてDHAをリン脂質のsn-2位に導入する反応を種々の条件で試みたが成功しなかった。
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