研究概要 |
魚油由来の高度不飽和脂肪酸(PUFA)を有効利用することを目的として、リパーゼやホスホリパーゼによる構造脂質(構造中性脂質および構造リン脂質)の合成を研究し,以下のような成果を得た。 1.本研究を実施する前提として、対称性構造中性脂質ABAと非対称性構造中性脂質AAB(とBAA)(A=n-オクタン酸、B=PUFA)の分離定量に、銀イオンHPLCとキラルHPLCによって世界で初めて成功した。またジアシルグリセロール(DAG)であるAA(OH)と(OH)AAの分離定量にもキラルな誘導化試薬を用いる誘導体化とシリカゲルカラムHPLCにより成功した。 2.Candida antarctica由来リパーゼを用いてカツオ油のエタノリシス反応を行い、(OH)(PUFA)(OH)というモノアシルグリセロール(MAG)を生成させ、続いてRizomucor miehei由来リパーゼを用いてn-オクタン酸によりエステル化するという2段階法でABA型構造脂質がきわめて効率よく合成できた。 3.Candida antarctica由来リパーゼを用いてtrioctanoylglycerolのメタノリシス反応を行い生成するC_8C_8(OH)を分離し、これとPUFAとをエステル化するという2段階法によりAAB型構造脂質が、反応率12.4%、ec値52%で合成できた。 4.ドコサヘキサエン酸(DHA)を13%含む卵黄レシチンと過剰なL-セリンとの、ホスホリパーゼDによるホスファチジル基転移反応により,DHA含有ホスファチジルセリンが高収率で合成できた。
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