研究課題/領域番号 |
12877353
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大森 秀信 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90028845)
|
研究分担者 |
前田 初男 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (00229311)
|
キーワード | グルコース / グルコースオキシダーゼ / 酵素分析 / 指示反応 / 蛍光分析 / 血糖値測定 / パーハイドロリシス / レゾルフィン |
研究概要 |
研究代表者らが見い出したグルコースオキシダーゼ(GOD)によるグルコースの触媒的酸化反応に付随しレゾルフィン(1)、レサズリン(2)またはアセチルレゾルフィン(3)が色調変化を伴う反応を受ける現象について、その色調変化の起源の解明および分析化学的利用について種々検討し、以下の知見を得た。 1)1について観察された色調変化がグルコースの酵素的酸化反応において発生するGODの還元体(GOD_<red>)による1の無蛍光性ジヒドロ体への還元に由来すること、ならびに、36℃における1とGOD_<red>の反応速度定数(k_3)が6.6×10^2M^<-1>s^<-1>であることを明らかにした。 2)2について観察された色調変化がGOD_<red>による無蛍光性化合物2の蛍光性化合物1への還元に由来すること、ならびに、25℃での2とGOD_<red>の反応におけるk_3およびK_Mがそれぞれ3.3×10^3M^<-1>s^<-1>および15.0±1.3μMであることを明らかにした。 3)3について観察された色調変化は、グルコースのGODによる触媒的酸化反応において溶存酸素から発生するH_2O_2による3の蛍光性化合物1への脱アセチル化反応(パーハイドロリシス)に由来することを明らかにした。このパーハイドロリシスを指示反応として用いることによりGODのみを用いてグルコースを蛍光分析できること、ならびに、通常の酵素的手法では問題となる生体試料中に存在するアスコルビン酸、尿酸、ビリルビン等の還元性物質が本手法においてほとんど妨害物質として作用しないことを見い出した。更に、除タンパク質操作は必要ではあるものの、本手法は、現在汎用されているトリンダー法よりも、妨害物質の影響をほとんど受けない高確度の血糖値測定法として利用できることも見い出した。 4)1が生体内還元性物質等の影響を受けず反応系内に安定に存在するという知見に基づき、2から1への変換を指示反応とする酵素分析系の設計を試みた。その結果、グルコースデヒドロゲナーゼ/NAD^+/ジアホラーゼ/2系を用いることによりグルコースの蛍光分析が行えること、ならびに本手法が除タンパク質処理を必要としない血糖値測定法となることを明らかにした。
|