研究課題/領域番号 |
12J01466
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
朱 偉 宮崎大学, 医学獣医学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 牛乳頭腫ウイルス / BPV-12 / ゲノム欠損BPV-12-del / トランスフェクション |
研究概要 |
我々は、牛の乳頭腫サンプルからBPV-12の環状ゲノムとその一部が欠損したBPVl2-delを検出した。これは初の報告である。牛の舌に形成された乳頭腫サンプルにおけるBPV12とBPV12-delの割合を定量化した、結果は、完全ゲノムと欠失ゲノムの含有量はそれぞれ、58.06%、41,94%であった。次に、欠失ゲノムがPCRやその他の反応によって人為的に生じたという可能性を排除するため、サザンブロットを実施した。その結果、全ゲノムと同様に、欠失ゲノムもまた主要組織内に存在することが明らかとなった。このことからBPV-12の欠失ゲノムは人工産物ではなく、ウイルス感染や疾病過程の間に起こる天然産物であると結論付けられた。 今年度はBPV12とBPV12-delのゲノム解析を行ってその違いを比較するために分子クローンの作成を行った。まずBPV12とBPV12-delの分子クローンを得るために、プライマーを設計し、PCRにてBPV-12とBPV-12-delの全ゲノムを構築しpUC19とpcDNA3.1ベクターの中に組み込んだ。構成したプラスミドの確認を塩基配列解析により行った。一方、大腸菌によるタンパク発現をみるためPCRで各初期遺伝子(E1、E2、E4、E7、E8)を増幅させ、それぞれpUC19ベクター内に結合させた。真核細胞発現のためにE1とE2遺伝子はpcDNA3.1ベクター内にも結合させた。DMEM (Dulbecco's Modified Eagle's Medium)-10%FBS(ウシ胎仔血清)培地にて培養したHela細胞へのpBPV-12、pEl、pE2のプラスミド、pBPV-12-del、pE1、pE2のプラスミドをトランスフェクションした。プラスミドの濃度、トランスフェクションの際の試薬や方法など転写条件の最適化を検討し、同細胞内でのBPV-12、BPV-12-delの転写と複製を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BPV-12とBPV12-delの全ゲノムを構築しpUC19とpcDNA3.1ベクターの中に組み込んだ、BPV-12およびBPV-12-delのそれぞれの全ゲノム分子クローンを構成した。今後の研究のため、培養した細胞ヘトランスフェクションした、BPV-12とBPV12-delの転写と複製を確認している。
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今後の研究の推進方策 |
トランスフェクションした細胞から核蛋白質を抽出する。抽出した核蛋白質を精製して、DNAse Iprotection assayと電気泳動移動度シフト(Electrophoretic mobility shifts assay)方法を使って転写の位点を確認する。cDNAライブラリ(cDNA library)を開発して多重スプライシングの種類(multiplesplicingpatterns)とプロモーター(promoter)の位置を確認する。以上のデータをもとにBPV-12、BPV-12-delの転写と複製機序を解析するとともにBPV-12とBPV12-delが乳頭腫形成にどのように関っているかを調べる予定である。
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