研究概要 |
高集積回路に求められる情報処理量の増加に伴い、半導体素子面積の増大を目的としてチップを積層し、素子を高密度化することが検討されている。[1,2]このチップ積層技術として、積層されたチップ間の直接配線を可能とする貫通電極(TSV)に注目が集まっている。本研究では、TSV製造工程の中でもキーテクノロジーの一つとされる電解銅めっきを用いたホール充填技術について検討を行った。当初の予定では、電解銅めっきを行う際に取り扱う複数添加剤の挙動についての研究を行う予定であったが、今回「各種添加剤はめっき中に生成される一価銅と様々な相互作用を引き起こす」と考えられるため、めっき浴中の一価銅がめっき反応の重要なファクターになると考え、めっき中に生成される一価銅濃度の測定及び、一価銅濃度の違いがめっき形状に与える影響を検討した。 実験方法について説明する。実際のホールに対して、めっき電流波形(PRパルス電流)を変化させることで電解銅めっきを行った。また、めっき電流によって生成される一価銅の割合を、回転リングディスク電極(RRDE)により評価し、めっき結果との比較を行った。 実験結果について説明する。(1)直径4μm、深さ30μmのホールに対して逆電解電流密度を変化させてめっきを行ったところ、逆電解電流密度の増加に伴いホール底部の欠陥が減少することを確認した。(2)RRDEを用いて一価銅生成量を評価した。この実験により逆電解電流密度の増加に伴いめっき中に生成される一価銅濃度の増加が確認された。 以上の結果より、PRパルス電流波形の逆電解電流密度を増加させることにより、ホール内部における一価銅生成量が増加し、各種添加剤の効果を高めたために充填結果が良好になったと考えられる。今後は有限要素法を用いたシミュレーションを行い、ホール内部の一価銅濃度分布および各添加剤との反応モデルを構築する。 1)K.Kondo et al.,ECS.,152,H173(2005). 2)K.Kondo et al.,ESSL.,13,D26(2010).
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