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2004 年度 実績報告書

明萬暦嘉興蔵の出版とその影響

研究課題

研究課題/領域番号 13021204
研究機関東北大学

研究代表者

中嶋 隆蔵  東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10004061)

キーワード嘉興蔵 / 刻蔵縁起 / 嘉興蔵目録 / 密蔵道開 / 紫柏達観 / 幻余法本 / 〓山徳清
研究概要

明末から清中期にかけて「民間」で漸次出版された嘉興大蔵経刻印事情の実際を、具体的調査なしの概括的説明を試みることは、真相を見誤らせる懼れがある。本研究では、三種の『刻蔵縁起』所収文献を拠り所に、刻蔵事業の展開・推移を段階的に辿りつつ、所謂「民間」の意味を具体的に考察する手掛かりを得、また、出版活動の終息期に刊行された『嘉興蔵目録』とその頒布価格表とによって、事業の具体的推移、事業の経済的支援者とその出身地の分布、出版費用と販売価格との関係、出版事業と官憲との関係などについての解明を試みた。
刊行事業は当初、紫柏達観と関係が深い有力士大夫達により嘉興を中心に始められた後、達観の弟子密蔵道開を主唱者として全国を視野に入れての組織化が図られ、しかるべき経済的見通しを得て五台山を刻場に定め積極的に推進された。ただ、事業の責任者に関する支援者達の了解は必ずしも同一でなく、道開の立場は微妙であった上、五台山を廻る複雑な情況から刻場が江南に移され、また事業推進の過程で生じた各種事態や自身の健康問題も絡んで、道開が忽然と隠遁し、その数年後には達観も獄死し、責任者を失った事業は継続が危ぶまれたが、達観の盟友〓山徳清の後援を得た達観の法嗣達が在地有力者の協力を得てどうにか継続された。
刻印事業が当時どれだけの支持を受けていたかは慎重な検討が必要である。少なくとも、同時期同地域で活躍していたある仏教指導者はまるで無関心だったし、後援した徳清も《壇経》の校訂に際して嘉興蔵の校訂方針や版式には意を介さなかった。現存する各種嘉興蔵目録を対照すると、正蔵、続蔵、又続蔵の収録内容、配列の順序次第、に異同があり、また刻印年時、版式などにかなりの凹凸がある。当初の構想と後時の実際との同異が究明されなければならない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 明刻《六祖壇経》二種について2004

    • 著者名/発表者名
      中嶋隆蔵
    • 雑誌名

      禅学研究 82

      ページ: 1-27

  • [雑誌論文] 所謂萬暦嘉興大蔵経の刊刻と馮洪業の助刻活動2004

    • 著者名/発表者名
      中嶋隆蔵
    • 雑誌名

      東アジア出版文化研究《にわたずみ》

      ページ: 69-81

  • [雑誌論文]2004

    • 著者名/発表者名
      中嶋隆蔵
    • 雑誌名

      東アジア出版文化研究《こはく》

      ページ: 25-42

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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