研究概要 |
1.PVXのDNA感染系を利用したトランス相補実験等により、PVXの細胞間移行に必要な4種のタンパク(p25,p12,p8,CP)の機能を解析した。その結果、複製の場から原形質連絡までの細胞内移行にはp12とp8の相互作用が重要であること、p12により原形質連絡の機能修飾が起こること、移行複合体にはp25,p12,CPが含まれることが強く示唆された。これらの新知見とp12,p8が膜タンパクであるとの推論から、PVXの移行に関する膜を介した新たなモデルを提唱した。 2.PVXとToMVのDNA感染系を利用し、他属のウイルスがコードする移行機能のウイルス特異性について検討した。その結果、ToMVとPVXの移行機能は自身のゲノムRNAに対して特異性があること、RCNMVとCMVの移行機能はPVXとToMVの両者の移行機能欠損を相補できることがわかった。また、CMVの場合、この非特異性はCPの関与によることが明らかとなった。さらに実験の過程で、DNA感染系を用いたトランス相補実験は、MPとある因子との相互作用をin vivoで検証するアッセイ系としても有用なことがわかった。 3.GFPに対するPTGSが偶発的に起こる形質転換タバコを利用し、ウイルスのコードするPTGS抑制活性を通常の感染過程において植物を痛めずに経時的に検出できることを明らかにした。この系を用いてタバコモザイク病の進行過程を解析し、モザイク症状とPTGS抑制活性との間に強い相関のあることを示した。また弱毒ウイルスを用いることにより、ToMVのPTGS抑制活性は複製酵素遺伝子にコードされていることを明らかにした。
|