研究課題
本研究の目的は、白血病に関連したクロマチンリモデリング因子とヌクレオポリンの融合遺伝子であるTAF (Template Activating Factor) -I/SET-CANとDEK-CANによる細胞がん化機構を明らかにすることにある。TAF-I/SET-CANは、核外輸送のカーゴ運搬因子であるhCRM1の細胞内局在を変化させる。これにともない、NES (nuclear export signal)を持つタンパク質の1つである転写因子NF-κBが核に蓄積することが明らかとなった。レポーターアッセイにより、核に蓄積したNF-κBは活性化型には変換されていないことが判明した。TAF-I/SET-CANによる形質転換細胞をsiRNA法により処理したノックダウン細胞では、がん形質の一部だけがキャンセルされていた。加えて、マイクロアレイ法により発現ノックダウン細胞における遺伝子発現プロファイルを調べた結果、ノックダウン細胞で発現が変化した遺伝子と発現が残存している遺伝子などを分類することができた。TAF-I/SETが遺伝子発現状態の維持機構に関わるtrxGの一員であるMLLと相互作用していることが示され、TAF-I/SETはMLLと協調的にMLL標的遺伝子の発現制御に関わっていることが明らかとなった。TAF-I/SETと同族のヒストンシャペロンであるTAF-IIIの機能実体がB23/ヌクレオフォスミンとRNAの複合体であることが判明した。TAF-IIIの機能阻害実験から、TAF-IIIが細胞内でクロマチン制御を通じて、rRNAの生合成、ひいては細胞の増殖速度の制御に関与している可能性が示された。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)
FEBS Letters 579
ページ: 757-762
International Journal of Cancer 111
ページ: 501-507
Nucleic Acids Research 32
ページ: 643-652