研究課題/領域番号 |
13309010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 和男 京都大学, 経済学研究科, 教授 (40182753)
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研究分担者 |
竹内 俊隆 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (60206951)
石黒 馨 神戸大学, 経済学部, 教授 (20184509)
井堀 利宏 東京大学, 経済学研究科, 教授 (40145652)
藤本 茂 防衛大学校, 公共政策学科, 助教授
鈴木 基史 京都大学, 法学研究科, 教授 (00278780)
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キーワード | 国際公共財 / 冷戦後国際秩序 / 複雑系 / シミュレーション / 分散オブジェクト・モデル / ゲーム理論 / 多国籍 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、「国際公共財」概念を中心に据えて、冷戦後の国際関係において、新しい国際秩序がどのように構築されるかのメカニズムを明らかにすることを目指したものである。本研究は、現実的な政策的要請と理論的な関心の双方に依拠した、経済学、政治学、情報学、複雑系などの諸分野にまたがる学際的な研究という点にその大きな特色を有する。科学研究費補助金による4年計画の研究の3年目にあたる本年度は、理論分野とシミュレーション分野において、新たな参画者を得た上で、更なる研究が進められた。理論モデルの分析において、本年度から新たに公共経済学分野の井堀利宏教授とマクロ経済学分野の遊喜一洋助教授を迎え、国際公共財の費用分担問題などについて理論的検討が重ねられた。また、理論的検討を基にした政治、経済、軍事の分野における事例研究も行われた。シミュレーションの分野においては、ネットワークを使った分散並列型のシミュレーション・モデルの精緻化が進められた。現在のモデルは、メッセージの送受信をインターフェースとし、内部的には自律的に情報分析と決定を行う自律的なエージェントを基本として構成されている。シミュレーションでは、このように自律的な国家を基本単位とする国際システムが構築されており、各オブジェクト内部は、さらに同様に自律的な様々な省庁、政治家、世論、経済アクターなどが相互作用するというスケーラブルな構造となっている。このモデルをプロトタイプとして、より大規模で現実的なシミュレーションモデルを構築する可能性が見えてきた。更に、本年度は、米国のボストンやワシントンDCにある幾つかの大学や研究所において本シミュレーションのデモを行い、高い関心を集めた。数年後には同様な試みがアメリカにおいても出てくるであろうという、本シミュレーションの先駆性を認める評価を得て、本プロジェクトの意義が再確認された。
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