研究課題
基盤研究(A)
本研究では、まず弾性管の運動方程式を誘導した。考慮に入れた力は弾性管の静的張力、慣性力、曲げモーメント、せん断力、流体抗力、附加質量力である。特に流体抗力と附加質量力は運動の振幅・レイノルズ数によって変化するので、従来の振動流中の剛体円柱に関する研究結果を取り入れる方法を開発した。弾性管の運動は2種類の座標とオイラー角を使って表現し、ハミルトンの原理によって誘導した。これまで行われてきたような運動方程式の簡略化を最後まで行なわず、出来る限り正確な運動方程式を導出した。従って、今後様々な応用を考えるときの基礎方程式を提供できたと考えている。求めた運動方程式は強非線形となるため、将来の制御システム開発への応用と数値計算上の容易さを考えて、最後に線形化した。さらに数値計算法の開発を行なった。求めた運動方程式をモード法によって離散化し、ガラーキン法とニューマーク6法を用いる事によって、それぞれ空間的・時間的に積分した。モードとしては最も一般的な正弦・余弦関数を使用した。次に水槽において、強制動揺実験を行ない、実験結果を数値計算結果と比較する事によって、計算法の精度の確認を行なった。実験における計測項目は模型の長さ方向の6点での3次元運動と模型上端での運動方向反力、モーメントである。さらに数値計算結果と実験結果を比較し、数値計算法の精度確認を行なった。運動と上端での反力・曲げモーメントについては運動加速度が極端に大きくない場合は数値計算法の精度は実用上十分な精度である事を確認した。また運動加速度が極めて大きい場合は計算精度に若干の問題があることを示した。原因は渦励振によるものと、運動方程式の線形化による誤差、具体的には弾性管の張力変動影響が考えられる。これらの問題は将来に残された研究課題とした。続いて最終年度には渦励振(Vortex Induced Vibration)の計算法を開発し、実験結果と比較して非常に良い一致を得た。
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