研究課題
1.赤阪によるギニア共和国東部の森林地域の調査では、マリンケ、プルなどの諸農耕民集団が活発な農業生産物の流通を通して、民族集団の枠を越えて経済的に共同していることが明らかとなった。2.梶によるウガンダ共和国西部の調査では、アンコーレ人の言語がチガなど周辺諸民族の言語と言語学的に親縁関係を持つ可能性が見いだされ、同地域におけるかつての王国形成に諸民族がどのように関わっていたかを言語学的に分析する端緒が得られた。3.研究協力者2名によるカメルーン共和国の森林地域での調査では、以下の知見が得られた。1)東部の森林地域では、狩猟採集民バカの儀礼の中心をなす森の精霊「ジェンギ」のパフォーマンスがバカにとって周辺農耕民集団との差異化をはかる一つの手段として実践されていることが明かとなった。2)南東部の森林地域では、狩猟採集民バカと周辺に居住する農耕民バクウェレの伝統的な杜会関係が、近年のヒトとモノの移動の増加によって変容し、かつての対立的な関係が緩和されていることが明かとなった。4.竹内はガボン共和国東部の森林地域でこれまで人類学的報告が皆無であった狩猟採集民ボンゴの調査をおこなったが、商業経済の浸透や砂金採取などの地域の経済事情を反映して、ボンゴが、伝統的な社会経済的関係を結んできた農耕民ミチョゴの村に居住してミチョゴと同化する傾向にあるグループと、森林内に居住してミチョゴとの関係は維持しながら農耕と狩猟を自立的におこなっているグループの二つに分化していることを明らかにした。5.文献研究をおこなった武内は、土地の希少性や杜会関係などの点で、ルワンダ共和国の農村社会はガボンなどの中西部アフリカの農村社会と対照的な動態を示していることを明らかにした。
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