研究分担者 |
平田 収正 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30199062)
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
宮本 和久 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30028849)
山口 進康 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (20252702)
谷 佳津治 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (50217113)
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研究概要 |
本課題は,東南アジアの環境の現状を生物学的に理解することを目的に,水圏に生息する微生物,およぴ高等生物における環境変化に応答する遺伝子の発現パターンを解析し,環境汚染物質の生態系への影響を調べるものである.本年度は,水圏環境評価DNAチップに用いる指標遺伝子をスクリーニングするとともに,タイの水圏汚染の現状について調査を行い,以下の知見を得た. 1.海産性緑藻のファイトケラチン遺伝子,および淡水性微細藻類のアブシジン酸誘導遺伝子が環境変化応答の指標遺伝子として有用であることがわかった.またヒト培養細胞を用い,化学的ストレス曝露のマーカー遺伝子について検討したところ,NF-κBに関連する遺伝子が,指標遺伝子として用いることができることがわかった.さらにタイ,バンコク市内の河川,運河および生活用水中に生息する細菌の群集構造を解析し,各地点で優先的に生息する細菌を明らかにした.今後それら細菌のもつリボソーマルRNA遺伝子の塩基配列を決定することで,環境指標となりうる細菌の遺伝子を決定することができる. 2.DNAチップの利用にあたっては,環境試料からの適切な核酸抽出・遺伝子増幅が必要である.しかしながら,タイの河川水中には夾雑物が多く存在し,従来の方法では十分な遺伝子増幅が困難であった.そこでタイの河川水試料からの核酸の抽出,および特定遺伝子増幅の条件を最適化した. 3.タイにおいて,水田でタニシ駆除に用いられる農薬が,水圏生態系に影響を及ぼしており,今後の研究では農薬分解菌・耐性菌を環境汚染の指標とするとともに,農薬の生態系への影響を調べる必要があることがわかった.
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