研究分担者 |
平田 収正 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30199062)
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
宮本 和久 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30028849)
谷 佳津治 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (50217113)
伊藤 徳夫 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (60176352)
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研究概要 |
本課題は,東南アジアの環境の現状を生物学的に理解することを目的に,水圏に生息する細菌の群集構造,および高等生物における環境変化に応答する遺伝子の発現パターンを解析し,環境汚染物質の生態系への影響を調べるものである.本年度は,16S rRNAの配列に基づく細菌同定用DNAチップを作成し,標準菌株を用いその有効性を評価した.さらに環境指標となりうる指標遺伝子のスクリーニングを継続して行い,以下の知見を得た. 1.16S rRNAを標的とし,系統分類に基づく細菌同定用DNAチップを作成した.本DNAチップでは,Proteobacteriaクラスα,β,γサブクラスおよびFlavobacteriaクラスの細菌を検出するオリゴヌクレオチドプローブを基盤上に配した.細菌から抽出した全RNAとハイブリダイズさせたところ,プローブの末端から2塩基以外の箇所に2塩基以上のミスマッチが存在する場合,特定グループの細菌を特異的に検出できた. 2.水棲動物の化学的ストレス曝露のマーカー分子として魚類のメタロチオネイン(MT)および熱ショック蛋白質(HSP)に着目し,フナ由来のキンギョから樹立された細胞(GAKS)を用い実験を行った.カドミウム,亜鉛,砒素およびt-ブチルヒドロペルオキシドで細胞を処理したところ,いずれの処理によっても濃度依存的,時間依存的にMTタンパク質が誘導され,かつMT mRNAレベルもタンパク質誘導とパラレルに増加すること,またHSP70mRNAは砒素処理で増加することがわかった.これらの遺伝子が指標遺伝子として有効であり,今後は検討する化学物質の種類を増やすとともに,対象とするマーカー分子について更に検討する. 3.昨年度,緑藻における環境応答の指標として,ファイトケラチン合成酵素遺伝子およびアブシジン酸合成系律速酵素遺伝子が有用であることを明らかにした.そこで,これらの遺伝子の発現機構を細胞レベルおよび分子レベルで解析したところ,その制御に重金属や活性酸素が関与していることを明らかとした.
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