研究課題/領域番号 |
13410015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 康夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60153623)
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研究分担者 |
高橋 哲哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60171500)
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
中島 隆博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20237267)
田中 純 東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (10251331)
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キーワード | ヴァーチャル・リアリティー / 潜在性 / 現実性 / 眼差し |
研究概要 |
本年度は研究全体の基礎的作業として、ヴァーチャル・リアリティーの概念を哲学的・美学的に基礎づけるとともに、この新たな表象概念を用いた視覚表象文化の歴史的な考察をおこなった。 1.哲学的考察によるヴァーチャル・リアリティー概念の明確化(高橋・小林・中島):潜在性と現実性の概念を思想史的に再考し、それに基づいて、ヴァーチャル・リアリティーの概念を明確化した。 2.精神分析における現実性概念の検討(杉橋・石光・高橋):人間にとっての現実性を構成する重要な要因である記憶との関係から、歴史的な記憶のメカニズムを明らかにしつつ、記憶の現実性と潜在性の機能相互の関係を考察した。 3.ヴァーチャル・リアリティーという視点から再考された視覚文化史=「眼差しの歴史」の分析、及びその日仏間の比較(小林・ビュシ=グリュックスマン・中島):美術作品をはじめとする伝統的な視覚表象を、ヴァーチャル・リアリティーという視点から読み直すことを通じて、作品の歴史ではなく、主体と対象の関係性の歴史としての「眼差しの歴史」の可能性を検討し、さらに、この新たな歴史の視点から、日本とヨーロッパ(フランス)の二つの地域をとり、それぞれの「眼差しの歴史」を比較対照した。 4.映画を中心とする映像芸術におけるヴァーチャル・リアリティーの表現(松浦・石光・田中):コンピュータ・テクノロジーによって可能になった数々の映像表現を取り上げ、ヴァーチャル・リアリティーの概念を軸に、従来の映像表現との差異を分析した。 5.情報学の観点から見たヴァーチャル・リアリティーの技術的諸条件(田中・松浦・杉橋):ヴァーチャル・リアリティーの表現を支える工学的技術が情報工学の歴史のなかで発展してきた過程をたどることにより、同時代の社会・文化現象との結びつきを探り、広く学際情報学的な視点からその存立が前提とする諸条件を考察した。
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