「人種」の概念と実在性をめぐる学際的基礎研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13410096
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 竹沢 泰子 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (70227015)
• 研究分担者: 高階 絵里加 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (80324698) ; 高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30202146) ; 山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703) ; 小牧 幸代 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (20303901) ; 田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (00188335)
• キーワード: 人種 / レイス / 民族 / エスニシティ / 多文化主義 / 人種差別

研究概要

平成14年度では、定期的な研究会の開催(計5回10日間)以外に、2回大規模な国際シンポジウムを開催した。また代表者・分担者による国際学会における研究成果発表、それぞれ個人の資料収集(または現地調査)、京都大学人文科学研究所に設置する関連文献資料の収集を主として行った。
国際シンポジウムはまず9月19日20日国立京都国際会館において「人種概念の普遍性を問う〜植民地主義、国民国家、創られた神話」を代表者が企画・開催し、一日目の公開シンポジウムには160名余りの一般参加者がいた。二日目の専門家会議は人種に関する国内の専門家を交え、パネリストと専門的議論を交わした。23日には東京で国際人類学民族学会議のメインシンポジウムの一つとして"Racializing the Human Body"と題したシンポジウムを英語で行い、代表者がオーガナイザー兼司会を務めた。これら二つのシンポジウムにはイギリス、アメリカ、インドからの4名の海外の人種研究の最高峰の専門家を招き、この科学研究費による共同研究会の分担者がパネリストなどの形で参加した。シンポジウムの成果報告書はまもなく刊行される見通しで、年末には研究書として人文書院から出版する予定となっている。
共同研究会では、遺伝子からみるヒトの多様性、部落差別、アイヌに関する人類学的研究、アフリカのアフロセントリズムの問題、アメリカにおける中国人の風刺画、優生学、などに関して代表者や外部から招いたゲストが報告した。さらに代表者は11月ニューオーリンズで開催されたアメリカ人類学会で「日本で人種とエスニシティを教えること」と題した報告を行った。

研究成果

• [文献書誌] Oota H.Saitou N., Ueda S.: "A large-scale analysis of human mitochondrial DNA sequences with special reference to the population history of East Eurasian"Anthropological Science. 110-3. 293-312 (2002)
• [文献書誌] Yamaoka Y., Orito E., Mizokami M., Gutierrez O., Saitou N.et al.: "Helicobacter pylori in North and South America before Columbus"FEBS Letter. 517. 180-184 (2002)
• [文献書誌] Oota H., Kitano T., Jin F., Yuasa I., Wang L, Ueda S., Saitou N.et al.: "Extreme mtDNA homogeneity in continental Asian populations"American Journal of Physical Anthropology. 118-2. 146-153 (2002)
• [文献書誌] 松田素二: "個人性の社会理論序説一非西欧社会のセルフ像を通して"現代社会学フォーラム. 1. 33-42 (2002)
• [文献書誌] 松田素二: "フイールドワークの窮状を超えて"社会学評論. 53-4. 499-515 (2003)
• [文献書誌] 松田素二: "法外世界と日常的実践-南アフリカにおける和解と救済を通じて"法社会学. 58. 15-28 (2003)
• [文献書誌] 高木博志: "文化財と近代日本"山川出版社. 198 (2002)