研究分担者 |
西原 諄 岡山大学, 法学部, 教授 (20045157)
藤田 寿夫 岡山大学, 大学院・法務研究科, 教授 (40190045)
木村 仁 岡山大学, 大学院・法務研究科, 助教授 (40298980)
吉岡 伸一 岡山大学, 法学部, 助教授 (50362950)
赤松 秀岳 岡山大学, 大学院・法務研究科, 教授 (40184098)
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研究概要 |
わが国の法定成年後見制度については,後見開始,保佐開始および補助開始の審判は,民法を受けて,家事審判法上別個の事件とはなっているが,事件本人についての精神鑑定の結論が出て来るまでは法定後見等開始請求事件とし,結果に従って最も適当な類型である後見開始または保佐開始に改める方法を検討すべきことを提言し、任意後見契約制度においては任意後見契約締結時に委任者に能力があったか問題となり,契約において委託しなかった事項については自ら処理することになり,この点でも能力が問題となること、一方における民法の成年後見法と精神保健福祉法など特別法の制定・改正が同時進行で行われなかったため、法律間で定める文言に整合性が欠け、問題を生じさせており、これらの矛盾を整理し、保護者の役割を真に本人の権利擁護者としての方向に大きく展開していく必要があること、また、医療行為代行決定者としての家族と後見人等の関係を整理し、本人の自己決定権重視の観点から、第三者による医療同意に関する法整備と代行決定者選任の法制化が望まれることを提言した。また施設利用や介護サービス提供契約において用いられている契約の諸問題を検討し,介護契約書の形態としては、基本契約書のほか、利用者に個別的な利用説明書と、重要事項説明書を作成して、利用者が契約からの権利・義務、サービス内容、料金、事業者の特徴を十分に理解して契約を締結できるよう、この3点セットとすることを提言し、特に利用者と事業者の紛争を防止し、利用者の利益を確保するためには、モデル契約書を提示することが重要であるとして、具体的条項を検討し、モデル介護契約書案を示した。そこでは、事業者の基本的義務条項として、利用者の自立のため利用者の意思と人格の尊重を定めておくことが重要と主張し、また、契約の解除原因に付随義務違反を含め、説明義務違反や守秘義務違反があれば解除できるようにしておくなど、「措置」の対象から「契約」の当事者となった利用者の権利者としての地位を確保できるようにすべきことを提言した。
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