研究課題/領域番号 |
13420022
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松田 宏一郎 立教大学, 法学部, 教授 (50222302)
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研究分担者 |
高原 明生 立教大学, 法学部, 教授 (80240993)
李 鐘元 立教大学, 法学部, 教授 (20210809)
吉岡 知哉 立教大学, 法学部, 教授 (90107491)
田村 愛理 東京国際大学, 商学部, 教授 (50166584)
佐々木 卓也 立教大学, 法学部, 教授 (60202090)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ナショナリズム / マイノリティ / イスラム / 台湾 / 韓国 / 中国 |
研究概要 |
本成果報告書では、研究分担者による研究会での知見の共有にもとづき、以下のような成果をだした。金榮作は、冷戦後の国際秩序において、東アジアの安全秩序のこれからの構想を視野におさめつつ、ナショナリズムを単なる危険因子として処理するのではなく、いかにして「開放的なナショナリズム」へと転換し、むしろ国民国家体制の枠組みの健全な再構築の中から、冷戦後の東アジア安全保障にふさわしい世論を形成していくか、という問題に焦点をあてて、日韓の諸議論を整理した。田村は、イスラムがドミナントであるジェルバ島におけるユダヤ教徒コミュニティをケースとして、イスラム社会内部におけるマイノリティが公的位置づけと保護をもつことが、イスラムの社会の歴史と論理により本来は制度化されていることを立証した。Doakは、近年の英語圏および日本における昭和前期ナショナリズムの研究を批判的にとりあげながら、「日本人」というエスニシティに結局はとらわれてしまう研究枠組みの問題性と、他方で知識人を特権化するスタイルとしての高踏的ネイション批判のいずれにも、行き詰まりを見いだしている。吉岡は、18世紀フランスの国民国家形成過程と宗教をめぐる論争状況の関連をあきらかにし、国民国家が世俗化・脱宗教化によってではなく、むしろ宗教を政治的言説の中にとりこみながら、再構成し国民国家を支えるものとして定義し直すいくつかの試みに注目している。李は、1990年代における朝鮮半島をめぐる外交交渉の枠組みがどのように模索され、またいくつかの事情に応じてどのように使い分けられたかという問題を分析した。高原は、90年代の中国政府が地域主義に明確にコミットしていく理由を、グローバライゼーションの認識の深化に求め、それによって多国間外交に対する従来の慎重な姿勢が転換していく過程を明らかにした。松田は、近年の国民国家枠組み批判にもとづく「日本思想史学」批判が、研究対象の再検討よりも研究者の問題意識批判に向けられることは、むしろ研究領域の矮小化を生むのではないかという問題点を指摘した。
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