研究課題
急速に普及しつつあるGRID技術に対応し、必要な環境の整備を行った。GRIDは、もともとは、大規模なスーパーコンピュータ同士を結合し、高並列計算を行うために米国で開発された技術である。しかし、さまざまな分野に急速に適用が進んでおり、計算重視のコンピューティングばかりではなく、データ重視のコンピューティングにおいても、利用されようとしている。ヨーロッパ、アメリカを主導に、インターネットで結合された複数のサイト間で、大規模なデータを扱う、分散コンピューティングを行う研究が進められている。従来の技術に比べて新しいのは、クロスサイトでのユーザ認証の方式を取り入れた点と、技術を標準化しつつ開発を行っている点である。したがって、新規にシステムを構築する必要はなく、既存の計算機システムに機能を拡張することにより、GRIDに対応可能である。高エネルギー加速器研究機構所有の共通計算機システムには、HPSSと呼ばれるデータストレージ管理ソフトウエアが採用されている。このソフトウエアの一部として提供されている並行転送可能なftp(pftp)のGRID対応を米国ローレンスバークレー国立研究所と共同で行った。本機構と東京大学の間は、国立情報学研究所の提供するSuperSInetと呼ばれる超高速ネットワークで結ばれている。東京大学素粒子国際センターと協力し、2点間で、GRIDを構築し、テストするために必要な環境の構築を行った。東京大学側から、SuperSInet経由で本機構の共通計算機にGRID対応のpftpでデータの転送を行い、ネットワークのバンド幅を使い切るために必要な研究を行った。さまざまなパラメータをチューニングすることにより、最終的に、期待通りの結果を得たので、国際会議Computing in High Energy Physics2003で発表を行った。これと平行し、GRID技術の上に、ファイルシステムを構築すための研究を他の期間と協力してすすめている。
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