研究課題
基盤研究(B)
高エネルネギー実験、原子核実験などに代表される加速器科学は、大型の加速器および検出器を必要とし、大量のデータを扱うのが特徴である。高エネルギー加速器研究機構においても、複数の大型加速器および実験装置を有し、国際協力で研究を行っている。膨大なデータ量のため、以前は、加速器のある研究所に出向いて、計算機システムを利用するしかデータ解析の手段がなかった。しかし、インターネットの発達により多量のデータを各機関に転送することが可能となった。また、近年、パーソナルコンピュータの普及により、安価で強力な計算機システムをそのようなPCをくみ上げることで実現可能となっており、国内外で協力関係にある研究機関にも設置されるようになってきている。そこで、各研究機関においてデータの解析を行うだけではなく、研究グループ全体で必要とするモンテカルロ事象の発生を分担し行い、より精度の高い研究を行う方向に向かっている。本研究においては、地域毎に中心となる解析センターを設け、加速器を有する研究所から実験データを転送して解析する方法、および、地域解析センターで発生させたモンテカルロ事象を転送する方法、および、データのカタログ管理を中心的なテーマとして研究を推進した。様々な製品を調査した結果、San Diego Super Computer Centerの開発したSRBと呼ばれるミドルウエアを採用し、実際に、BELLE実験のデータをインターネット上で共有する試みを行った。単なるデータのコピーではなく、元のファイルの変更と同期可能なレプリケーションも実現したさらに、GRIDにも対応し、GRID認証によってアクセスする方法も実現することが出来た。これらの仕組みを使い、実際にBELLE実験のデータ解析を分散して行う方法の開発を継続している。また、地域解析センターで実行されるアプリケーションの開発についても並行して行い、ベイズ法を用いた粒子同定ソフトウエアの開発や、測定器シミュレータの開発にも成果を収めることが出来た。
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