研究課題/領域番号 |
13440180
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鷲田 伸明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70101045)
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研究分担者 |
猪俣 敏 国立環境研究所, 大気圏環境部, 研究員 (80270586)
若林 知成 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273428)
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
佐藤 圭 国立環境研究所, 大気圏環境部, 研究員 (10282815)
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キーワード | 反応速度 / 同位体 / 同位体効果 / 光イオン化質量分析計 / レーザー誘起ケイ光 / 反応機構 / 大気化学 / メチルラジカル |
研究概要 |
近年、地球環境研究において、指標となる分子中の同位体比に関する議論が盛んである。同位体比から物質の起源を同定したり年代を決定する手法は地球化学において伝統的なものであったが、地球環境研究ではそれに加えて種々の元素の循環機構(いわゆる炭素、硫黄、窒素などの循環)を明らかにするために同位体比測定が行われている。循環機構における同位体濃縮には生物活動による取込や放出によるものや土壌や水(海)中における物質の分解や蒸発による濃縮などに加えて、大気中での化学皮応(光化学反応やラジカル反応)における反応速度の同位体間の差異の評価が重要視されている。以上の背景を受けて本研究は気相ラジカル反応における安定同位体間の微小な反応速度の差異をラジカルを直接検出する直接法で精密測定し、上記の問題解決に貢献しようとするもので、以下の研究がなされた。 (1)ラジカル反応における同位体効果の研究には光イオン化質量分析法が最も適している。また反応速度の同位体効果は反応の種類(例えば引き抜き反応、付加反応、再結合反応など)により異なる。その中で三分子反応である再結合反応は同位体効果が大きく現れる反応である。三体反応の研究を進めるために、光イオン化質量分析計の反応容器を30Torr程度にまで高められるよう装置の改良を行った。 (2)メチルラジカルの反応における同位体効果:^<12>CH_3と^<13>CH_3、CD_3の三種メチルラジカルと酸素原子および酸素分子の反応速度の差異を光イオン化質量分析計を用いて測定した。三体反応であるO_2との反応速度においてCD_3がCH_3の2.4倍、^<13>CH_3が^<12>CH_3より0.5%速い反応であることが決定された。さらにメチルラジカルの反応の中で典型的な二体反応である。CH_3+NO_2と、CD_3+NO_2の反応速度を詳細に測定し、この反応においては同位体効果は極めて小さいことが判明した。
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