研究課題/領域番号 |
13440197
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 米蔵 九州大学, 理学研究院, 教授 (30037262)
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研究分担者 |
日高 昌則 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (50037298)
杉原 真司 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (10253402)
速水 真也 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (30321912)
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キーワード | 光誘起 / メスバウアースペクトル / LIEEST / スピンクロスオーバー錯体 / 磁気的性質 |
研究概要 |
今年度は、光スピン転移を起こす化合物として、水素結合やπ-πスタッキングなど分子間相互作用を利用して、スピン転移温度を高温側にシフトさせる要因を内蔵する錯体として[Co(pyterpy)_2](ClO_4)_2(1)、[Co(pyterpy)(NCS)_2(2),[Fe(pha)2(NCS)2](3)、[Fe(ipa)_2(NCS)_2](4)、[Fe(pha)_2(NCSe)_2](5)などの数十種類の錯体を合成した。これらの錯体の磁気的性質、吸収スペクトル、メスバウアースペクトルを測定し、これらの内いくつかはスピン転移を起こすことが分かった。さらに、これらの単体の錯体をさらにAgなど他の金属で結合し、1,2次元のポリマー錯体を合成した。これらの錯体に5Kで光照射する事により光誘起スピン転移を起こさせることに成功したが、約50Kでもとの低スピン錯体へ脱励起した。また、配位子のメチレン鎖を長くすることにより磁気的性質が変わっていくことを見いだした。このことは特定の温度でスピン転移する錯体の合成への指針を与える貴重な結果である。さらに配位子にイソプロピル基などπ-πスタッキングを有しない場合には単分子状態でのスピン転移が起こることが分かった。今後はこれらの結果を検討し、さらに分子を設計して、励起高スピン状態が300Kでも保持される錯体を開発する。低温装置が稼働するようになったので、低温での光照射とメスバウアースペクトルを駆逐して、脱励起過程を調べてLIEEST現象の機構解明に取り組む。
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