研究概要 |
今年度はスピン転移を起こして光機能を持つ錯体として、スピン転移化合物をビルディングブロツクとして組み込んだ超分子化合物に照準を定めて設計した。配位子としてトリアゾールを有する配位子pbtrzおよび4'-(4'''-Pyridyl)-2,2':6',2''-terpyridibe(pyterpy)とTetra-2-pyridinylpyrazine(tpypz)を新規合成した。これらを基に、錯体[Fe(pbtrz)_3](ClO_4)_2・2MeOH・1.5H_2O、[Fe(pyterpy)_2](ClO_4)_2(1),[AgFe(pyterpy)_2](ClO_4)_3(2),[Fe_2(pyterpy)_2(NCS)_4](3),[Co(pyterpy)_2](ClO_4)_2(4),[FeCo(pyterpy)_2(NCS)_4](5),[Fe(tpypz)_2](ClO_4)_2(6),[Fe(tpypz)_2][Fe(NCS)_4](7)を合成した。これらの錯体の単結晶構造解析と磁化率、メスバウアースペクトルにより磁気特性を研究した。[Fe(pbtrz)_3](ClO_4)_2・2MeOH・1.5H_2Oのメスバウアースペクトル及びSQUIDを用いた磁化率の測定を行った。錯体[Fe(Pyterpy)_2](ClO_4)_2は298Kでのメスバウアースペクトルの面積強度比はHS : LS=79%:21%、80KでHS : LS=15%:85%でありスピンクロスオーバーが観測された。(1),(2),(3)は低スピン錯体であった。(4)および(5)はスピンクロスオーバー錯体で、(6)および(7)は低スピン錯体であった。(4)及び(5)は一次元の錯体で、分子間に空孔を有するので、この空孔内にゲスト分子を挿入して、ゲスト分子のあるなしでスピン転移が起こる錯体の合成に挑戦している。 さらに昨年から合成しているスピンクロスオーバ錯体[Co(pyterpy)_2](ClO_4)_2、[Co(pyterpy)(NCS)_2,及び今年度合成した錯体に光照射してLIESST現象を観測するのに成功した。現在、光照射によるLIESST現象の測定と転移温度の上昇を目指した研究を続行している。
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