実大振動実験による新伝統木造対震構法創成基礎技術の検証

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13450225
• 研究機関: 秋田県立大学
• 研究代表者: 鈴木 有 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (90027235)
• 研究分担者: 後藤 正美 金沢工業大学, 工学部, 講師 (40170469) ; 佐々木 貴信 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 講師 (00279514) ; 飯島 泰男 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (10279507) ; 北原 昭男 鳥取環境大学, 環境デザイン学科, 助教授 (00195273) ; 村上 雅英 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80190891)
• キーワード: 木造伝統構法 / 吸振機構 / 免振機構 / 制振機構 / 載荷実験 / 立体架橋 / 土壁 / 落とし板壁

研究概要

1.従前の諸研究から研究メンバーが得ている既往の諸知見に基づき、伝統的木造構法に内在する吸振・免振・制振に関わる各機構を抽出・整理し、「吸振・免振・制振機構の体系化」を行った。
2.上の結果に基づいて、構造体に内在する諸機構の仕組みに、ロウテク型現代技術を補完・融合して各機構発現の高度化と能率化を図る「新伝統木造軸組対震構法創成の基本方針」を設定した。
3.「要素基礎技術の第1段階検証」のために、「構造材料」「壁体工法」「接合工法」「軸組工法」「立体架構法」「基礎工法」という構造体を構築していく各工法について、工法毎に上述の目的に添う基礎技術を創案し、それらの構造モデルの要素試験体を設定して、その設計作業を行った。
4.「実大実験棟での第1段階検証」のために、以上の要素基礎技術を組み込んだ実大実験住宅棟について、土壁系と落とし板壁系の2つの体系を設定し、軸組→床組→小屋組→屋根組までの建設計画を立案して、その設計作業を行った。
5.設計された要素試験体の製作と実大実験棟の建設のために、必要な建築材料を集約して、材料として安定性を得るように適切な処理を行い、加工と部分的な組立を実施して、その基礎的な材料特性と工法特性を測定した。
6.要素試験体のうち、伝統的な技法の弱点を克服するべく靭性と強度を高められるように創案された「塗土と小舞下地改良型の土壁」「スギ厚板の落とし板壁」「貫と力板を活用したラーメン架構」については、加力実験を行って、その基本的な構造特性を把握し、創案した技術の有用性を検証した。

研究成果

• [文献書誌] 鈴木有: "地震に備える伝統民家の智恵を生み出した技術観"地域安全学会論文集. No.3. 87-94 (2001)
• [文献書誌] 佐野春仁, 鈴木有, 村上雅英, 河本和義, 富崎修平: "在来軸組工法木造住宅の構造設計手法の開発 (その48)土壁の水平耐荷機構解明に関する実験"日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集. 359-360 (2001)
• [文献書誌] 鈴木有, 村上雅英, 河本和義, 富崎修平, 佐野春仁: "在来軸組工法木造住宅の構造設計手法の開発 (その49)土壁の水平耐力の推定"日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集. 361-362 (2001)
• [文献書誌] 大下達哉, 北原昭男, 後藤正美, 鈴木祥之: "伝統木造軸組の実大振動実験(その14) 実験結果(1)試験体の応答特性"日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集. 179-180 (2001)
• [文献書誌] 前野将輝, 清水秀丸, 北原昭男, 後藤正美, 鈴木祥之: "伝統木造軸組の実大振動実験(その15) 実験結果(2)損傷状況と貫接合部"日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集. 181-182 (2001)
• [文献書誌] 佐々木貴信ほか: "木ダボ接合の長期的性能の検討"日本木材学会大会(岐阜)研究発表要旨集. (未定). (2002)
• [文献書誌] 飯島泰男, 鈴木有ほか: "木質科学講座9「木質構造」"海青社. 302 (2001)