研究概要 |
(1)免疫疾患におけるTLR4,RP1O5分子と病態との関連 以前にSLE患者においてRP105陰性の活性化された細胞が増加していることを報告した.この細胞集団が自己抗体産生をおこなっているか否かについて解析した.細胞集団をセルソーターで分取し,RP105陰性細胞を5日間培養するとIgGおよびIgM産成が認められ,これはSACあるいはIL-6刺激による増強された.RP105陽性細胞は,T細胞と同時に培養したときにのみ抗体産生が認められた.このような抗体産成において,抗dsDNA抗体はSEL患者のRP105陰性細胞からのみ産成が認められた.すなわち,この細胞集団は活性化された状態にあり,SEL患者での自己抗体およびポリクローナルな抗体の産生に関与していることが示唆される. (2)TLR4,RP1O5分子の構造解析 RP105,MD-1それぞれの分子を大腸菌の発現系で蛋白を産生させ,精製を試みている.MD-1分子はその全長を発現させると大量の可溶性(チオレドキシンとの)融合蛋白が得られた.アフィニティーカラムおよびイオン交換カラムにて精製し,CB染色にて90%以上の純度が確認されている.また,哺乳動物細胞(CHO)での発現も可能となった.RP105分子は全長の約半分(細胞側)を大腸菌で発現させることができた.今後,発現量を増加させ,精製方法を検討することにしている. (3)刺激伝達の人為制御 MD-2分子のalternative splicingによるshort form(sMD-2)の存在をRT-PCRにて見出した.通常のPCRでは検出できないので,存在量が非常に微量であることが推測される.LPSなどの刺激に対応して骨髄DCでの発現増加が起こるか否かを検討している.sMD-2は,通常のMD-2のdominant negative分子として機能する可能性があり,LPS刺激の人為操作への応用が期待できる.
|