研究概要 |
(1)TLR4,RP105分子構造の解明 MD-2分子のリコンビナント蛋白を大腸菌で発現させ、高純度の精製標品を得た。精製品はポリマー形成しており、種々の操作によってもモノマーにすることが困難で、結晶化には至っていない。この研究過程でMD-2と機能的関連を有するCD14、LBP分子の機能構造解明を進め、それぞれについて大腸菌発現による高純度精製品を得ている。これらを使って、LPSとの結合様式の解明をおこない、結合に必要な領域の同定、およびCD14とMD-2のLPSに対する結合様式の相違を解明した。 (2)TLR4およびRP105に対するリガンドの解明 MD-2分子が病原体構成成分LPSに直接結合することを見出した.MD-1分子は、機能的にはLPSの刺激伝達に関与するが、LPSとの直接結合は認められない。MD-1およびMD-2分子のアミノ酸変異蛋白を作成し、LPSとの結合を検討することにより、LPS結合部位の解明をおこなった。 (3)TLR4,RP105リガンド類似合成物質による刺激伝達の人為制御方法の開発 MD-2分子に対するモノクローナル抗体を作成し、そのうちの幾つかはTLR4/MD-2分子に結合して細胞内へ刺激を伝える機能が認められた。刺激の結果、マクロファージからのサイトカイン産生を誘導することが出来た。この抗体を使って、敗血性ショックやLPSトレランスの誘導が可能かいなかの実験をおこなうことが可能となった。また、この抗体による癌やアレルギー治療についての研究もおこなえることがわかった。
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