尿路シュウ酸カルシウム結石の腸内細菌による制御

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13470338
• 研究機関: 琉球大学
• 研究代表者: 小川 由英 琉球大学, 医学部, 教授 (50051719)
• 研究分担者: 外間 実裕 琉球大学, 医学部, 助手 (20229157) ; 諸角 誠人 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (60166460) ; 秦野 直 琉球大学, 医学部, 助教授 (10101924)
• キーワード: 尿路結石 / シュウ酸 / 腸内細菌 / シュウ酸分解菌 / シュウ酸カルシウム結石

研究概要

我々はヒトの腸内のシュウ酸分解菌として通性嫌気性菌としてEnterococcus fecalisをはじめて報告した。今回同じヒトの腸内に新しい蓚酸分解菌Providencia rettgeriiを同定しその分子生物学的特徴を検討した。同菌も蓚酸を分解する機序は蓚酸を分解する株がその菌体蛋白の中にoxalyl-coenzme A, formyl-coenzume Aに対する抗体に反応する蛋白を有することからOxalobacter formigenesと同様にoxalyl-coenzyme A, Southern-blottingにてfomyl-coenzyme Aの遺伝子frcをprobeにした際、反応がみられたことから遺伝的配列的にも似ていると考えられる。今後遺伝子配列の同定も行う予定である。
通性嫌気性菌にも蓚酸分解菌があることを世界に先駆けて報告してきたが、今回分離された菌を臨床応用は困難である。そこで市販されている生菌製剤を集め、その蓚酸分解能を検討した。生菌製剤を日本医薬製品集で確認したところ28製剤あり、それぞれの薬品会社に連絡して得られた25製剤についてその蓚酸分解能を測定した。培地はATCC medium 1352で嫌気条件下に5日間培養し、Barber改変培地に5日間、再度ATCC medium 1352で5日間培養した。培地中の蓚酸濃度を測定しその蓚酸分解菌を検討したが、現在のところ蓚酸分解能を確認できた製剤は見つけられなかった。今後培養条件などを変えてみて、蓚酸分解能を検討する予定である。
ラットにおける消化管でのシュウ酸の吸収に関して研究し、上部消化管での遊離のシュウ酸が最も吸収され易く、カルシウムはこの吸収を抑制する。牛乳も同様に吸収を抑制することを示したが、カルシウムや牛乳の投与はシュウ酸投与前でないと効果が少ない.現在下部消化管でのシュウ酸吸収実験とシュウ酸長期投与の実験を実施している.

研究成果

• [文献書誌] Hossain RZ, Hokama S, Hatano T, Ogawa Y: "Urinary tract calculi in Okinawa : A high prevalence of calcium oxalate and Uric acid stones"第61回日本泌尿器科学会沖縄地方会抄録集. 12 (2001)
• [文献書誌] Nishijima S, Miyazato T, Ogawa Y, 他3名: "Glyoxylate determination in rat urine by capillary erectrophoresis"International Journal of Urology. 8・8. 107-115 (2001)
• [文献書誌] 小川由英: "尿路結石の基礎とその臨床への応用"第19回浜松カンファレンス 泌尿器科学の最近の進歩-2001年. 1-11 (2001)
• [文献書誌] Hossain RZ, Hokama S, Ogawa Y, 他2名: "Chemical components of the urinary tract calculi in Okinawa with special Reference to whewellite and weddellite"日本泌尿器科学会雑誌. 92・2. 378 (2001)
• [文献書誌] 小川由英, 宮里朝矩, 菅谷公男, 秦野 直: "沖縄における尿酸関連結石"日本腎臓学会誌. 43・3. 255 (2001)
• [文献書誌] 諸角誠人, Hossain RZ, Hokama H, 他4名: "シュウ酸の消化吸収に及ぼすカルシウムの影響"日本尿路結石症研究会第11回学術集会抄録集. 15 (2001)
• [文献書誌] 小川由英: "腎・尿路結石、今日の治療指針2001年版"医学書院、東京. 496-497 (2001)