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2003 年度 実績報告書

上咽頭癌の頸部転移機構に関する分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 13470358
研究機関金沢大学

研究代表者

古川 仭  金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40092803)

研究分担者 吉崎 智一  金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (70262582)
キーワードLMP1 / MMP9 / NF-_κB / I-_κB / 分子標的治療 / アスピリン
研究概要

上咽頭癌の頸部転移機序を分子生物学的に解明し、それを予防する治療法を開発する目的でEBウイルスの唯一の発癌遺伝子といわれるLMP1発現と相関する転移関連遺伝子群のスクリーニングをおこなった。その結果、細胞外基質破壊、細胞接着、血管新生、細胞運動能亢進に関与する転移関連遺伝子群が明らかになった。次いでLMP1によるMMP9の発現誘導をI-_κBが阻害することを明らかにした。つまり、NF-_κBシグナルを抑制することでLMP1によるMMP9の転写が抑制されることを証明した。しかしLMP1遺伝子発現の直接制御は難しく、LMP1下流のシグナル伝達経路を遮断することで癌の浸潤・転移を抑制する分子標的治療の可能性について検討を加えることにした。最初に、I-_κBキナ-ゼ(IKK)を不活化し、NF-_κBの活性を抑制することが知られているアスピリン及びその関連物質であるサリチル酸ナトリウムについて検討した。その結果、アスピリンはLMP1導入後のMMP9の発現を抑制することをゼラチンザイモグラフィーで観察した。ゲルシフトアッセイの実験から、アスピリンはLMP1によるNF-_κB、AP-1の活性を抑制したことから、MMP9の発現抑制はLMP1下流シグナル伝達経路の抑制によるものであると考えられた。また、MMP9の転写に関するプロモーターの活性を調べたCATアッセイでも、アスピリンによる抑制が証明されたので、ヌードマウスを用いて、臨床応用への可能性を検討した。
形質転換した子宮頚癌由来C33A上皮系細胞とLMP1発現C33A細胞を作成し、それぞれの細胞をヌードマウス背部へ皮下注射により移植した。次いで腫瘍形成ヌードマウスへアスピリンを3日間、皮下注射した。この移植腫瘍からウエスタンブロット用及びゼラチンザイモグラフィー用細胞抽出液を採取し、それぞれの材料においてLMP1及びMMP9の誘導を確認した後、アスピリン投与有無での両者の発現の差を比較検討した。結果は期待どおりアスピリンはそれらの発現を有意に抑制し、上咽頭癌の頸部転移抑制のための分子標的療法の可能性が証明できた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] K.Endo, T.Takino, H.Miyamori, H.Kinsen, T.Yoshizaki, M.Furukawa, H.Sato: "Cleavage of Syndecan-1 by Membrane Type Matrix Metalloproteinase-1 Stimulates Cell Migration"The Journal of Biological Chemistry. 278(42). 40764-40770 (2003)

  • [文献書誌] H.Kinsen, H.Sato, M.Furukawa, T.Yoshizaki: "Modulation of Cell Growth and Matrix Metalloproteinase-2 Activation of Oral Squamous Cell Carcinoma as a Function of Culture Condition with Type 1 Collagen"Acta Otolaryngol. 123. 987-993 (2003)

  • [文献書誌] 吉崎智一, 近藤 悟, 古川 仭: "上咽頭がんにおける血清EBV-DNA量と抗EBV抗体価"耳鼻免疫アレルギー. 21(4). 23-26 (2003)

  • [文献書誌] 古川 仭: "上咽頭癌と臨床解剖"JOHNS. 20(1). 130-131 (2004)

  • [文献書誌] 古川 仭: "今日の耳鼻咽喉科頭頸部外科治療指針 第2版"医学書院. 4 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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