研究概要 |
本研究の目的は、在宅高齢者における日常生活行動、生活意欲、配食ボランティアサービス(配食サービス)利用の関連性及びその経年変化をもとに、住民主体の高齢者自立支援サービスの要件及び活動方法を活動者・保健福祉職とともに明らかにすることである。16年度は、13-15年度の結果をもとに、配食サービスの活動方法、利用者の生活意欲及び活用の関連性を分析した。 調査地域は、保健福祉システムの全体を把握しやすい規模で、民間事業者の参入があまり見込めず、住民主体の自立支援の役割が大きい地域としてA, B, C, D町(人口3500-16000人,高齢化率25-35%)を選択した。調査対象者は、各町の配食サービス利用者97人(各町15-29人)、活動者102人(各町12-28人)及び保健師各町1人・社会福祉協議会各町1人の配食サービス担当者とし、選択的回答及び自由回答法による面接調査を行った。 1)活動の中心は、Aでは食生活改善推進委員、Bでは毎年更新するボランティア、C、Dでは民生委員であり、共通して利用者が気兼ねをしない工夫を行っていた。2)利用者は外食やヘルパーの調理の併用者がみられた一方、共通して、自立した食生活を維持するための負担軽減や改善のために利用していた。地域差もみられ、Aでは調理の身体的負担から利用し、日頃の食事の参考になると効果を認識していた。Bでは経済的という理由で利用し、ボランティアが安否を気遣ってくれると認識していた(Mann-Whitney検定)。Cでは民生委員と話せることを効果とみなしていた。3)内容分析の結果、生活意欲が低いとみなせた利用者では、ボランティアと話す機会がない、話が合わない等、期待する生活支援が得られないと認識していた。 活動方法に応じた配食サービス利用の効果がみられたが、利用者の生活意欲を高めるために、保健福祉職者との協働も必要と考えられた。
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