日本における農村地理学の構築のための理論的・実証的研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13480014
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 田林 明 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70092525)
• 研究分担者: 松井 圭介 筑波大学, 地球科学系, 講師 (60302353) ; 手塚 章 筑波大学, 地球科学系, 教授 (60155455) ; 斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90006586) ; 山本 充 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (60230588) ; 菊地 俊夫 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50169827)
• キーワード: 農村地理学 / 都市周辺の農村 / 農村の持続的発展 / 日本 / 経済・社会・文化 / カナダ・アメリカ / フランス・ドイツ・イギリス / オーストラリア

研究概要

本年度は日本を含む先進諸国における農村地理学の成果を検討し、その方法、概念、内容について整理した。田林はカナダ、斎藤はアメリカ合衆国、手塚はフランス、森本はイギリス、山本はドイツを中心とした中央ヨーロッパ、菊地はオーストラリアとニュージーランドの農村地理学を検討し、さらに松井は日本の農村における文化的側面、川瀬は日本の農村の人口や雇用という側面から検討した。それぞれの国の農村地理学は、経済、社会、文化、人口、土地利用・景観、資源管理、集落、レクレーションなど多くの内容を含んでおり、特にそのような要素が多様である都市周辺の農村において多くの研究実績が蓄積されていることがわかった。各国の農村地理学の内容を比較検討するにつれて、そもそも現代において農村をどのように定義するべきかという点まで掘り下げて議論しなければならないという新たな課題に直面することになった。また、現在の農村地理学では、地域振興、地域政策、農村の持続的発展といった、応用的側面が強調されるという特徴にも気づいた。
文献研究を進める一方、具体的な農村調査を水戸市周辺農村や岩手県胆沢扇状地、松本盆地、東京西郊、アメリカのカリフォルニア南部、フランスの地中海沿岸、タイのチェンマイ近郊などで実施し、土地利用・景観、経済構造、社会構造などの実態分析から、農村地理学の構築を目指した。また、次年度以降の具体的な調査の準備として、2000年農業センサス市町村別統計書の必要部分を購入した。

研究成果

• [文献書誌] 田林明, 藤永豪: "北陸地方における農業の性格"人文地理学研究. 26号(印刷中). (2002)
• [文献書誌] 田林明ほか: "水戸市における近郊農村の地域性"地域調査報告. 24号. 153-186 (2002)
• [文献書誌] Tabayashi, A., Waldichuk, T.: "The role of Community activities and residential co-operation in sustaining rural areas"In, Developing Sustainable Rural Systems eds. Kim, K., Bowler, I. and Bryant, C. PNU Press. 455-468 (2001)
• [文献書誌] Kikuchi, T., Cui, L. W.: "Sustainable development of corporate farm and its regional conditions in the inner fringe of Tokyo metropolitan area"In, Developing Sustainable Rural Systems eds. Kim, K., Bowler, I. and Bryant, C. PNU Press. 279-291 (2001)
• [文献書誌] 斎藤功, 矢ヶ崎典隆: "テキサスパンハンドル地方における大牧場経営と畜産業"地学雑誌. 110巻3号. 293-313 (2001)
• [文献書誌] 斎藤功, 仁平尊明, 二村太郎: "カンザス州におけるグレンエレベーターの地域的展開と垂直的統合"地理学評論. 74A巻・12号. 661-684 (2001)
• [文献書誌] 菊地 俊夫 編: "食の世界"二宮書店(印刷中). (2002)