研究概要 |
本年度は,対象とする物理量の立場から分類すると,1)大気エアロゾル2)雲3)大気水蒸気量の3項目の大気構成物質の導出(リトリーバル)を試みた.研究方法から眺めると,項目1の大気エアロゾルは衛星データ利用と地上偏光放射観測に基づき,項目2,3の雲,水蒸気には衛星データ解析に基づいて研究を進めた. 地上観測に焦点を当てて報告する.衛星データから得られるグローバルな成果を有効に活用するためには,ローカルな地上観測による検証を行なわねばならない.1996年よりポータブル型多波長偏光放射計(PSR-1000/オプトリサーチ社)を導入し,宇宙開発事業団,気象研究所,神戸商船大学,金沢工業大学等の共同プロジェクトとして,日本上空大気光の偏光観測と太陽直達光観測に着手し,国内の偏光観測グループの組織作りに大きく貢献した.これにより,近年では海洋技術センターの"みらい"や水路部の"開洋丸",アジア太平洋域大気エアロゾル観測プロジェクト(ACE-Asia, APEX)のメンバーとして,日本に限らず広く大気偏光観測を実施するに至っている.更に2000年9月にはアメリカNASAのAERONET放射計が近畿大学白浜水産研究所に設置された.本年度後半には,本プロジェクトの支援の下に製作したポータブル型偏光放射計(株式会社プリード社製)によって,新たに時系列データが得られつつある. APEXやACE-Asia等のアジア太平洋域の集中大気観測への参加に加え,8月にはSKYNETサイトの一つである敦煌観測所を訪れ,観測サイト調査を行った.来年度,近畿大学班は敦煌に全自動型偏光放射計の設置を計画している.また.千葉大学環境リモートセンシング研究センターの本多嘉明助教授を責任者とするモンゴルフィールドキャンペーンに参加した.12月にはインドIIT KanpurのRamesh Singh教授が1ヶ月来日滞在して,インドでの観測計画,データ取得について研究打ち合わせをした.
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