研究課題
7月28月〜8月18日にかけての3週間、サハリンの南部から中部での野外調査を実施し、2200点の押し葉標本、900点のDNAサンプルを収集することができた。標本について北大総合博物館と都立大学牧野標本館とに分蔵される予定である。北大分については既にラベル作成、台紙貼付が終わり、標本棚に収納済みである。DNAサンプルは都立大学と森林総合研究所の各研究室で保管され、研究に供されている。調査地域としては特にサハリン第2の高峰チャンガ岳やジダンコ山の調査ができたのは収穫であった。しかし本年も昨年同様に、悪路に悩まされ、計画したすべての地点にアプローチできたわけではなかった。これは陸路を利用する限り、サハリン調査では常につきまとう問題である。植物分類地理学的研究としては、シャクジョウソウ科とユキノシタ属について現在、ロシア側と共同で研究を進めている。特にユキノシタ属のサハリン固有種については、北方系種の亜種あるいは変種として取り扱われる可能性が出てきた。分子系統地理学的研究としては、シオガマギクの地理的変異研究が論文作成中であり、エゾマツ、トドマツ、オオバヤナギ、ケショウヤナギ、マイヅルソウなどについて、葉緑体DNAの遺伝子間領域のシーケンス解析中であり、一部については核ゲノムのITS領域のシーケンスもおこない、多型性の検出を試みている。
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