今年度は、昨年度入手したWilliam Dudley Pelleyの著作を丹念に読み、彼の知的背景となる思想家、同時代の政治的背景に関する書籍を収集した。その結果、Pelleyは来日して、1920年のシベリア出兵に参加したり、地方色豊かなセンチメンタル小説をものしたり、ハリウッド映画の脚本を書いたりと、多彩な一面を持つことが分かった。 また、重要なことは、彼の反ユダヤ主義は、大変特異な神秘主義的人種論の働きがあることも判明した。そしてそれは彼がおそらく本気で実現可能と信じていたろう経済ユートーピア構想にも反映されていることが確認できた。 こうした研究成果として、論文、「ウィリアム・ダッドリー・ペリーに関する覚え書き」と書いた。これは彼の生涯、神秘主義、経済ユートピア、人種論の関係を考察したものである。 来年度は、Charles Coughlinの反ユダヤ主義と経済思想について考察をすすめ、ペリーと彼のパウンドに及ぼした影響について考えたい。
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