研究課題/領域番号 |
13610670
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研究機関 | 神戸海星女子学院大学 |
研究代表者 |
桐谷 滋 神戸海星女子学院大学, 文学部, 教授 (90010032)
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研究分担者 |
御園生 保子 東京農工大学, 留学生センター, 助教授 (00209777)
須藤 路子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60226587)
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キーワード | 第二言語習得 / 音声知覚 / 長母音・短母音 / 音韻境界 |
研究概要 |
第二言語の音韻習得の困難に関わる要因の一つとして言語によっては聴覚心理的にみると特異的な音韻境界を持った特殊な音韻カテゴリーが存在し、そのようなカテゴリーが習得困難をもたらす場合のあることが最近示唆されている。本研究は日本語の長・短母音等を対象とし、学習初級者が第二言語の音韻カテゴリー境界をどのように形成し、それが母語話者のものとどのように異なるかを検討することを目的としている。 多くの外国語話者にとって日本語の長母音・短母音の習得は困難を生ずる。韓国語話者を対象とした申請者等の研究では、純音や母音音声の長さの弁別という非言語的課題では、韓国人、日本人ともに音の高さ、強さの影響を受けるが、長・短母音の同定という言語的課題では韓国人のみ影響を受け、日本人は影響を受けない。本研究ではまず、中国語話者を対象とし、日本語長・短母音の知覚特性が韓国語話者と同様に日本語話者と異なるかどうかを検討した。予備的結果では韓国人と同様の傾向が見られたが、さらにデータを補充して検討している。 上述の日本語話者の知覚特性は、長・短母音の音素対立を有し、かつ高低ピッチアクセントを有する日本語の特性が関係していることが推察される。ただし他の可能性として日本人は音の長短を直接知覚しているのではなく、音声のタイミングを元に音韻判断を行っていることが考えられる。これに関連して促音の知覚実験を行ったところ、ata, attaの同定において無音区間の長さだけでなく第1母音の長短が知覚に影響していることがわかった。このことは、第1母音長と無音区間の長さを合わせた第2母音の立ち上がりのタイミングが促音の知覚に関係していることを示唆している。この点について外国人日本語学者との比較検討を今後行う予定である。
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