研究課題/領域番号 |
13620101
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
片岡 正昭 慶應義塾大学, 総合政策学部, 助教授 (80152669)
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研究分担者 |
伊藤 修一郎 群馬大学, 社会情報学部, 講師 (70323326)
桑原 英明 常磐大学, 人間科学部, 助教授 (80225325)
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キーワード | 政策イノヴェーション / 政策波及 / 情報公開条例 / 景観条例 / 環境基本条例 / 外国人政策 / 地方政府 / 政策過程 |
研究概要 |
本年度の研究は、政策イノヴェーションと波及に関する理論サーヴェイと共に、本格調査の前段階として対象政策分野におけるイノヴェーションの事例研究と、政策波及の全般的把握を行った。 情報公開条例の事例では、努力義務化により進展している条例制定状況の実情把握と、県による市町村への行政指導の実態調査を行った。この条例の波及には、全市町村で制定済みの県から3割以下の県まで格差がある。全都道府県の調査から、県による行政指導の姿勢には相当の多様性が見られた。しかし、県の姿勢と市町村の条例制定率の間には有意な関係が見られなかった。 景観条例の事例では、その制定過程について群馬県内市町村のヒアリングを中心に調査を実施した。群馬県庁での条例制定状況調査に続いて、高崎市、前橋市、桐生市、片品村、新治村のヒアリング及び新聞等文献調査を実施した。このほか、先行自治体としての京都府及び藤沢市並びに最近の例として東京都の図書館資料調査を実施した。 環境基本条例の事例では、県と市町村における条例制定状況を調査した。国の環境基本法を遵守した条例制定を進める自治体がある一方で、条例の名称を工夫したり、関連事項を網羅的に条例に盛り込んだり、特定事項を特別の条例で規定する自治体があることが明らかになった。さらに、この条例を制定していない自治体が、環境行政における『居眠り自治体』であるとは必ずしも言えない実態が伺われた。 外国人政策の事例では、未払い医療費問題を検討した。各市町村の対応は緊急避難的であるが、そこでも多様な政策イノヴェーションが見出せた。第一に、相互参照の過程が重要な役割を果たしていること。第二に、各々が内生条件を検討する中で政策競合の状況が発生し、最終的判断を政治的リーダーに委ねていること。第三に、政策進化が直線的に進むというより、試行錯誤の中で市町村が独自の行政哲学を形成していることが明らかとなった。
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