研究課題/領域番号 |
13640037
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
古澤 昌秋 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50294525)
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研究分担者 |
住岡 武 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90047366)
兼田 正治 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60204575)
津島 行男 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80047240)
橋本 義武 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20271182)
浅芝 秀人 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70175165)
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キーワード | 相対跡公式 / 保型エル函数 / ジーゲル保型形式 / エル函数の特殊値 / ドリーニュ予想 / 跡公式 |
研究概要 |
次数2のジーゲル尖点形式に付随したスピノル・エル函数の函数等式の中心における特殊値についてのベッヘラーの予想及びその一般化についての研究を続行した。我々のアプローチはジャッケの二次一般線形群についての二つの相対跡公式の階数2の一般斜交群への一般化を定式化し、それによって特殊値に関する予想を証明しようというものである。このアプローチでは、「基本補題」といわれる命題を証明することが、その出発点であると同時に、一般化の正否についての揺ぎ無い根拠を与えるものである。我々はヘッケ環の単位元については、すでに基本補題の証明を終えており、それは現在印刷中の論文にまとめられている。本年度は、この基本補題を単位元からヘッケ環の一般の元に拡張することに関して、大きな進展を得ることができた。すでにベッセル・モデルについての反転公式は得ていた訳だが、それを利用することによって、基本補題をヘッケ環の一般の元に拡張するには、すでに取り扱った軌道積分よりも退化した軌道積分を計算すればよいことが判った。現在は、これらの退化した軌道積分を計算しているところである。 また、関連した問題として、「吉田持ち上げ」と呼ばれている次数2のジーゲル尖点形式を上半平面の二つの直積に制限したときの振る舞いについての考察も行った。この場合に、次数16のエル函数の函数等式の中心での特殊値との関連を証明することができた。一般の場合には保型形式の周期積分との関連を証明するのは極めて困難と思われ、特殊な場合ではあるが、予想の根拠を与える例としての意味は充分あると思う。
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