研究概要 |
葉層構造の位相的な研究に有向グラフの考え方が有効だったので,今年度は逆に,葉層構造で,以前我々が得ていたいくつかの結果を,有向グラフに移し替える事を試み,いくつかの結果を得ることが出来た: 1.等周定数のひとつであるチーガー定数が有向グラフのほうでも定義でき,それが有向グラフの強連結性と深く関係していること,及び,点-連結度や辺-連結度の評価にも現れることを示すことが出来た. 2.余次元1の葉層化多様体において,許容関数なるものを以前定義したが,この概念を有向グラフにも定義し,葉層化多様体の許容関数とその葉層化多様体に付随する有向グラフの許容関数との間に密接な関係があることを示すことが出来た.その応用として,葉層化多様体上の許容関数と同様に,その葉層化多様体に付随する有向グラフの許容関数もまた,ある種のdivergent(発散)の形で特徴付けることが出来た. 以上の結果は,論文の形で発表出来た.(cf.雑誌論文2と3) 葉層構造の幾何的な性質を研究するのに有力な手掛りと思える許容関数に関しては,既に特徴づけや幾つかの興味深い性質を以前与えたが,「関数」を「ベクトル場」にかえると,状況はかなり変わってくる.P. SchweitzerとP.Walczakによって得られた一般次元の葉層構造の許容ベクトル場に関する最近の結果をヒントにして,余次元1の場合について,許容ベクトル場の特徴づけを試みた.これについては,現在論文を準備中である.また,リーマン葉層に付随する錐構造に対して幾つかの興味深い結果がWollakや他の人達によって得られているが,錐構造をより詳しく調べることにより,それらの結果の別証を得られる可能性があるが,これは,次年度の大きな課題の一つと考えている.
|