研究概要 |
本研究は,リーマン対称空間の完備全測地的部分多様体及びそれらを局所モデルとするグラスマン幾何の部分多様体論の研究を目的とする。研究期間4年の3年目にあたる本年度は,主に以下の2点について成果が得られた。 (1)研究期間初年度にMath.Annalenに投稿中であったBerndt, Eschenburg, Tsukada諸氏との共著論文「Symmetric submanifblds associated with the irreducible symmetric R-spaces」の掲載決定を受けて,前年度着手の解説論文「対称空間の対称部分多様体の分類」(11.研究発表記載の第1論文)を完成した。本論文については,アメリカ数学会より,雑誌「Sugaku Expositions」への英訳掲載依頼がきている。 (2)次に,前年度に着手した左不変計量を持つリー群上のグラスマン幾何の研究に関する成果として,「Grassmann geometry on the 3-dimensionl Heisenberg group」(11.研究発表記載の第2論文)で,3次元ハイゼンベルグ群の曲面論に関するグラスマン幾何を研究し,その空間上には,形式的に3種類のグラスマン幾何が存在し,そのうち2つには実質的な部分多様体論が展開できることを示した。また,そのうちの1つは3次元ユークリッド空間のシリンダー型曲面論と密接な関係を持つこと,および,もう1つは負定曲率曲面の曲面論であることも解明した。
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