研究分担者 |
中尾 愼太郎 金沢大学, 理学部, 教授 (90030783)
一瀬 孝 金沢大学, 理学部, 教授 (20024044)
藤本 坦孝 金沢大学, 理学部, 教授 (60023595)
田村 博志 金沢大学, 理学部, 助教授 (80188440)
藤曲 哲郎 金沢大学, 理学部, 教授 (60016102)
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研究概要 |
Dirichletによる「2整数が互いに素になる確率=6/\pi^2」という密度定理を,通常の確率論における大数の強法則に翻訳し,そしてその奥にある(はずの)極限定理を見出すことが目的である. 我々の基礎とする確率空間は(Zhat,\lambda)(ただしZhat(ゼットハットと呼ぶ)は有限整アデール環,\lambdaはその上のハール確率測度)とし,アデールの組(x,y)\in Zhat\times Zhatが互いに素のとき,1,そうでないとき0を返す関数をX(x,y)とする.このときS_N(x,y)=(1/N^2)\sum_{m,n=1}^N X(x+m,y+n)は,N\to\inftyのとき,6/\pi^2に概収束する.これが大数の強法則である. 次に中心極限定理スケーリングN(S_N(x,y)-6/\pi^2)を考える.部分列{N_k}ごとに,これは異なるものに収束し,その極限は{N_k}から定まる,商空間Zhat/\simの元によって完全にパラメトライズされる.特に,N(S_N(x,y)-6/\pi^2)は,N\to\inftyのとき収束しないのである! ところが,この収束をCesaroの意味で捉え直す,即ち,相加平均の極限として捉えるならば,次のことが分かった:(1/N)\sum_{n=1}^N n(S_n(x,y)-6/\pi^2)\to U(x)+U(y)in L^2. ここでU(x)=\sum_{u=1}^{\infty}(\mu(u)/u)((x\mod u)/u-1)/2u)(\mu(u)はメビウス関数).このUがどのようなものであるかを探るのが本当にやらねばならぬ仕事となる.今回の研究で分かったことは「Uの分布は対称で,L^{\infty-}に属する」である.「Uの分布は正規分布ではない」だろうという予想を立てている.もしこれが成り立つ(正しい)ならば,我々はこれを非中心極限定理とよびたいが,それを確かめる(証明する)までは行かなかった.ただ,我々はこの予想を立てた一つの根拠として,数値実験による検証を与えた.
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