本研究で観測を予定していたアングロ・オーストラリア天文台(オーストラリア)では、4年の歳月をかけ開発していたUK Schmidt望遠鏡の多天体分光器6dFが2001年4月にテスト観測に成功し、6月から本格的な運用となった。この分光器は150本の光ファイバーを持つ多天体分光器で、Schmidt望遠鏡としては世界で初めてのものである。 我々のグループは、2002年7月に、この分光器を利用して「へびつかい座超銀河団の中心領域」の約200平方度の天域の観測を行った。約600個の銀河を観測し、現在までに約30%の解析を終え、250個の銀河について赤方偏移の測定に成功した。 観測天体リストは、カリフォルニア工科大学のJarrett氏らの赤外線サーベイ(2-Micren All-Sky Survey ; 2MASS)から提供をうけ、K-バンドでのホモジニアス・サンプルに基づいて行った。へびつかい座銀河団の中心域にある銀河の多くが銀河団メンバーであることが確認された。この観測は「6dF Galaxy Redshift Survey」という国際プロジェクトの一部を担うものであり、2002年5月にオーストラリアでの観測の直前に開かれた研究推進検討会に出席し、この成果の一部を発表し、銀河面での赤方偏移サーベイの今後の観測指針の確立に貢献した。
|