研究概要 |
ニュートリノファクトリーにおけるCP非対称の位相の測定の可能性を議論した。その結果、密度の不定性が10%以上の場合、あるいはバックグラウンド/シグナル比が10^<-3>以上の場合には基線の長さが約1000km以下、又ミューオンのエネルギーが20GeV以下の時にシグナルが最も効率良く測れることがわかり、従来最善だと思われていた値よりも小さくなることを示した。長基線実験で、基線の長さが短い場合には、物質効果が非自明な最初の2項まで無視できることを示した。さらにそれと同じ定式化により、一定密度の物質中および一定磁場中の一般の世代のニュートリノ混合の振動確率を解析的に表した。原子炉実験によって第三番目の混合角θ_<13>を測定する方法を提案した。さらに、この測定法が加速器によるニュートリノ振動実験による方法と相補的役割を果たすこと、これらを組み合わせることによってパラメーター縮退の一部が解けることを具体的に示した。さらに原子炉が複数個あることから来る不定性をはじめ、種々の系統誤差を考慮に入れ、原子炉によるθ_<13>の感度を議論した。柏崎-刈羽原発で想定されている実験では、測定器を最も適当な場所に置く場合に、sin^22θ_<13>〜0.02程度の感度を持つことを、又、一般的に原子炉の感度の最良値がsin^22θ_<13>〜0.01程度になることを示した。JPARC実験でニュートリノと反ニュートリノの測定を振動最大のエネルギーで行った後、どのような実験を行えばパラメーター縮退の問題を解決できるかを、(sin^22θ_<13>,1/s^2_<23>)平面内の新しいプロットを考察することにより議論した。その結果、JPARCやoff axis NuMIで振動最大よりも低エネルギーで実験することが現実的に可能であれば、θ_<23>⇔π/2-θ_<23>,δ⇔π-δ,Δm^2_<31>⇔-Δm^2_<31>の不定性を解決でき得ることを示した。それ以外にはν_e→ν_τの測定が有効であることも示した。
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