研究概要 |
1.高温型ゲーレン石,スパー石スカルンの形成に重要な役割を果たした火成岩の解析 岡山県備中町布賀に産する火成岩は,従来考えられていた石英モンゾニ岩のみではなく,それよりもさらに塩基性のモンゾ閃緑岩も関与していることが明らかになった.新しく得られた知見は以下のようである. (1)モンゾ閃緑岩(8160)16石英モンゾニ岩は一連のマグマ活動での産物であり,それらの貫入時の温度条件により形成しているスカルンのタイプが異なる。ゲーレン石,スパー石スカルンを形成した火成岩の温度条件は地質温度計を用いて690(8160)16930℃であると見積もられた. (2)モンゾ閃緑岩(8160)16石英モンゾニ岩中の輝石ホルンフェルスゼノリスは,同じく捕獲されている黒雲母ホルンフェルスが部分溶融を起こすことによって形成されたものである。その変成温度は900(8160)161090℃と見積もられた。 (3)モンゾ閃緑岩(8160)16石英モンゾニ岩中に捕獲されている角閃岩は,地下深所において固結状態であった方解石脈を伴うアルカリ玄武岩が,モンゾ閃緑岩(8160)16石英モンゾニ岩マグマによって取り込まれた際に熱変成を受け,交代作用を起こした結果生成されたものと考えられる. 2.高温型スカルン中に産するゲーレン石の後退変質過程の解析 岡山県備中町布賀及び広島県東城町久代に産する試料について,化学組成及び鉱物組成の面から精密に解析した結果,新しく得られた知見は以下のようである. (1)ゲーレン石の後退変質には放射状変質過程,Ti, Fe相形成過程,優白質脈変質過程,優黒質脈変質過程,帯状変質過程の5つの過程が存在し,これらの順序で変質が進行した. (2)ゲーレン石は後退変質作用によりベスブ石,ザクロ石などからなる変質帯を経由して,最終的には全てハイドログロッシュラーへと変化する.
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