Rh(110)表面上で以下の結果を得た。 1.NOの分解 表面温度が室温での吸着から昇温中にNO(a)は分解し、N_2が放出される。その角度分布を、既存の角度分解昇温脱離装置で測定した。N_2脱離はNOの吸着量を増すと、400Kから800Kまでの広い温度域で起こり、ピーク温度は700K、550Kと430Kに生じ文献値を再現した。[001]方向の面内のN_2の角度分布を測り、垂直方向に指向した鋭い分布を見出した。斜めの脱離は見いだせなかった。 2.N_2O分解 約90Kの表面温度でN_2Oの吸着を行い、続いての昇温脱離中に放出されるN_2の4つの脱離ピークを110-170Kの温度域に見出した。角度分布を[001]方向の面内で測定した。170Kにピークを示す主成分は熱平衡の分布である余弦法則を示した。他の3つの脱離ピークは約70°表面垂直からずれた斜め脱離を示した。しかし角度分解シグナルは反応室の排気速度が十分でないため、反応室の散乱に依るbackground値の寄与が大きい。また90KではN_2Oが既に一部分解している可能性がある。以下の装置整備の完成後に再実験の予定である。 3.試料の冷却と排気速度の改良 角度分解昇温脱離装置の試料温度を従来の90K(液体窒素冷却型)から60Kまでの冷却型にすることに成功した。小型のヘリウム冷凍機を組み込み、さらに1000cm^2のクライオ吸着板を設けてN_2への排気速度を現在より5倍程度増加する事が出来た。試料台は従来のままで使用でき、冷却は60Kまで可能、冷却中に試料台の回転が可能であることを確認した。角度分解能の改善度合いを現在評価している。
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