研究概要 |
ホームネットワークの需要が近年高まっており,新たな線路の敷設が不要な方式として,無線とともに電力線通信が注目されている.ただし電力線は,多分岐配線のためネットワークトポロジが複雑であり,また接続される家電機器のインピーダンスの影響を受けるため,伝送路特性のモデル化は一般に容易ではないとされていた.本研究では、欧米で現在進められている高速電力線通信の標準規格で使用予定の,数M〜30MHzあたりの周波数帯の電力線伝送路の特性を明らかにし,以下の手順で伝送路モデルを作成し、それが妥当であることを確認した. (1)あらかじめ線路の分布定数を求めておき,分岐点間のセグメントを一つの2端子対回路網として、すべての分岐線を2端子対回路網の縦続行列化し,いかなるトポロジでも伝達関数を導出できる方法を考案した。 (2)家電機器単体の入力インピーダンスを,集中定数でモデル化しておき、こうした家電機器が,線路のどこに接続されているかを,(1)の線路モデルに与えることで,所望の観測点間での伝達関数を求められるようになった. (3)実際の伝送路の測定結果と、(1)(2)で求めたモデルから予想した値を比較すると、両者の統計的特性がよく一致することを確認した。 また、本研究で導入した任意波形発生器を用いて、所望の変調方式により実際の電力線で通信を行う準備をほぼ完了した。これにより、次年度は最適な通信方式やプロトコルを開発し、高速化高信頼化を実現する方法を検討する予定である.
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