(1)植裁内の熱・水分・二酸化炭素収支モデルの作成 次の3つのサブモデルを統合して、植栽内の熱・水分・二酸化炭素収支モデルを作成した。即ち、(1)植栽内の乱流モデル、(2)植栽内放射伝達モデル、(3)気孔コンダクタンスモデル。 (1)の植栽内の乱流モデルに関しては、今回新たに乱流モデルを作成した。(2)の植裁内放射伝達モデルに関しては、Rossのモデルを採用した。Rossのモデルは、放射輝度を変数とする微積分方程式で表される。このモデルを用いて、3次元植栽内の放射分布をコンピュータで計算しようとすると、コンピュータ内で5次元の配列が必要になる。現時点では、この計算はコンピュータ能力を上回るため、Rossのモデルの近似解法を試みた。気体放射で用いられる拡散近似解法を、Rossのモデルに適用した。(3)の気孔コンダクタンスモデルに関しては、Collatzらのモデルを採用した。以上、3つのサブモデルから、植生の熱・水分・二酸化炭素収支モデルが構築できることを示した。 (2)土壌内の熱・水分・二酸化炭素収支モデルの作成 次の4つのサブモデルが必要になることが明らかになった:即ち、(4)根からの水分吸収モデル、(5)土壌内の熱・水分同時移動式、(6)土壌呼吸、(7)根呼吸モデル。(4)と(5)のモデルは既に存在し、これ2つのサブモデルを統合することにより、植生のある土壌内の熱・水分収支モデルを作成することが可能になった。 (3)植裁葉郡内の熱・水分・二酸化炭素収支モデルの検証 上記、(1)〜(3)のサブモデルを統合することにより、植裁の地上部分の熱・水分・二酸化炭素収支モデルを作成することができた。このモデルを用いて、Naot and Mahrerの綿畑での測定データ(3日間の風速、気温、正味放射束密度)と比較を行った。このモデルからの計算値は測定データを正価に再現し、モデルの妥当性が示された。
|