研究概要 |
<主な実施項目> 1.パルス通電加圧焼結法によるZrN-hBN, TiN-hBNおよびCrN-hBN複合セラミックスの作製条件の検討. 2.ZrN-hBN複合セラミックスの摩擦摩耗特性の評価. 3.反応スパッタ法によるCrBN複合セラミックス膜の作製とその摩擦特性の評価 <結果> 1.ZrN-hBN, TiN-hBNおよびCrN-hBN複合セラミックスのパルス通電加圧焼結法による最適焼結焼結条件を検討した結果,h-BNの混合割合が5mass%を超えると焼結が阻害され,硬度も急激に低下することがわかった.又,180ksのミリング(MA)により5%h-BN粉を混合したTiNやZrN粉末焼結対では,90%以上の相対密度が得られた.一方,5%h-BN粉とCrNをミリング処理後に焼結すると,焼結体にクラックが入り,完全な焼結体が得られなかった. 2.最適な焼結条件で得られたZrN-hBN複合セラミックスは,h-BN粉が微細に分散し,クロム鋼に対する0.2〜0.3の低い摩擦係数を示し,自己潤滑性を有することが明らかになった.ただし,その自己潤滑効果をさらに長時間持続させるには,ナノオーダー以下にまで微細化・分散化を行い,強固な複合組織を実現する必要のあることがわかった. 3.CrBN膜とCrB膜との多層膜は,各層の厚さに関わらず,CrBN(13Pa)およびCrB(17GPa)単層膜よりも高い硬度(20GPa)を示した.一方,Cr鋼に対する摩擦係数は,CrBN単層膜では,当初0.2以下の低い摩擦係数を示すが,膜の密着性が悪く,2mほどの摺動距離で膜が剥離したのに対し,多層膜では剥離も無く,摩擦係数はCrB(0.8)およびCrBN(0.2)の中間値である(0.45)であった.CrBN膜構造は,XRD, TEMおよびXPSなどによる観察・測定結果から,未知の相を含み,主としてCrBおよびh-BNのナノサイズの微細な粒子からなることが明らかになった.
|