研究概要 |
Neocosmospora vasinfecta E.F.Smithはネムノキの苗立ち枯れ病、ダイズの株枯れ病を引き起こす多犯性の病原菌である。N.vasinfecta NHL2298株代謝産物の化学的研究が我々のグループによって行われ、植物毒素(neovasinin, neovasifuraones)とその間連化合物が単離構造昧定された。安定同位体標識化合物の投与実験の結果からneovasifuranone A(NF A)の生合成前駆体がそのアルデヒドであることが予想され、このことはNFAより化学的に調製されたNFA aldehydeの投与実験から確かめられた。さらに無細胞系でもこの反応の酵素活性が検出された。そこで本年度はこの酵素の精製を試みることにした。 NHL2298株の菌体から抽出した粗酵素液を最初にDE-52陰イオン交換カラムで精製した。このクロマトにより酵素活性は2つに分離した。早く溶出された酵素(還元群素1)をさらにSephacryl S-300カラム、Superdex 200HRカラムを用いて精製した。Sephacryl S-300カラムクロマトでの溶出位置から還元酵素1の分子量は165kDaと決定された。また、Superdex 200HRカラムクロマト後の酵素活性フラクションのSDSPAGE分析では47kDaと75kDaの2つのバンドが検出された。還元酵素1のNF A aldehyde、NF B aldehydeに対するKm値はそれぞれ0.55、0.33、Vmax値は0.126、0.037であることが分かった。また、DE-52カラムクロマトで遅く溶出された還元酵素2のNF A aldehyde、NF B aldehydeに対するKm値はそれぞれ0.93、0.27、Vmax値はそれぞれ0.112、0.016であることが分かった。
|